智学館で身につける
本物の英語「力」
「英語を学ぶのではなく、英語『力』を身につける。文法を学ぶのではなく、文法『力』を身につける。従来の英語教育では、文法の知識は授けますが、それが『力』にはなっていません。『力』とは、英文を自由自在に作り出せる力のこと。智学館では、この英語力を身につけさせるための教育活動を展開しています。研究論文の執筆やプレゼンテーション、ディベート、グループディスカッション、プロジェクト型学習など、実践的に英語を使うタスクに生徒たちは挑戦します」
そう語るのは、慶應義塾大学環境情報学部の田中茂範教授。専門の応用言語学、意味論を展開するほか、2006〜07年にはETV「新感覚☆キーワードで英会話」、「新感覚☆わかる使える英文法」の講師として活躍。学校法人常磐大学参与として、智学館の立ち上げ時から英語教育をプロデュースしている。田中教授の教え子である森本教諭は、5年次生(高2)が取り組んだプロジェクト型学習についてこう語る。
このプロジェクトは、学校の空きスペースや既存の施設をより良く活用できるプランを生徒たちが提案するというもの。データ収集やインタビュー、予算検討等を踏まえ、20分のオーラルプレゼンテーションを英語で行った。発表の後は、10分間の質疑応答を行うが、ここでは以前ディベートで磨いた質問力・応答力が存分に発揮された。そしてプレゼンテーション終了後、生徒一人ひとりがその内容及び成果を3,000語以上のレポートに仕上げた。
「生徒たちにとって3,000語以上に及ぶ文章を英語で書くのは初挑戦だったので、相当苦労したと思います。しかし、完成後は大きな達成感を得ることができたようです。文法や表現ではまだ改善の余地は残るものの、このレベルのレポートの執筆は、現役大学生にとっても容易ではないでしょう」と田中教授も高く評価する。
ベネッセのGTEC(「読む・聞く・書く・話す」4技能の実践的な力を測定)の結果でも、同校5年次生は、高2の全国平均を大幅に上回り、特にリスニング・ライティングでは大きな成果を残した。4年次生(高1)も、高3水準に迫る勢いだ。
「気づき」から始まる
智学館英語教育メソッド
智学館の英語の授業は、「気づきを高める」「関連づける」「理解する」「表現する」「自動化する」という5つの活動から構成される「智学館メソッド」に基づいてデザインされている。例えば、1年次1学期の授業では、冠詞について徹底的に取り上げる。a chickenとchickenはどう違うのか。なぜa sunではなく、the sunなのかなどについて、プロジェクターで映し出された画像を見ながら考える。これは、智学館メソッドの柱の一つ、「気づきを高める」活動の一例である。「冠詞はモノや数を語る上での出発点。これを感覚的に捉えられないと、英語の学習は絶対に進みません」と田中教授は言う。
1・2年次はオリジナルテキストのタイトルにもなっている、Explore the E-Worldと呼ばれるステージ。文字通り、「英語の世界を生徒自ら探索しながら自分のものにしていく」というコンセプトに基づいている。命令文から始まるテキストは、1年次の後半に前置詞を、2年次に「時制の概念」を体系的に網羅する。3・4年次はRead and Reactのステージ。従来の英語教育では、テキストをreadすることに終始することが多かったが、智学館ではreadした後のreactを重視する。reactには、文章の再話(retelling)や要約、ミニ・ディベートなどさまざまなタスクがあるが、それらを実践することにより、内容を自分のものとすることが可能となる。これらのタスクを行ううえで重要になるのが、「チャンク」と言う概念だ。「日本語で話す時、頭の中で文を作って話してはいませんよね。短いチャンクをつないでいるのです。チャンキングとは、英語の思考プロセスを理解する方法なのです」と田中教授は言う。これらのステージを踏まえ、5年次・6年次はプロジェクト型学習や大学受験に特化した授業を行っていく。 |
オーセンティック(本物)で
ミーニングフル(意味があり)
パーソナルな英語教育を目指して
田中教授と教員そしてNETのチームが、ゼロから築き上げてきた『智学館の英語』。試行錯誤の連続の中、指針となったのは、「オーセンティックでミーニングフル、パーソナルな英語教育を展開しよう」という思いだ。特に日本人教員は、彼ら自身が過去に受けてきた英語教育を踏襲せず、新しい英語教育を創り出す覚悟を要した。
「各自が自由に得意分野を発揮できる環境づくりが一番だと思う。その代わりマニュアルもないので、先生自身がリアルで自然な英語力をつけていくことができる」と田中教授は教員チームを評価する。
森本教諭をはじめ日本人教員が「メリットが大きい」と口を揃えるのが「教科教員室」と、共に英語教育プログラムを開発してきたNETたちの存在だ。「ネイティブの先生はアシスタントではなく、チームの一員であるという思いから、智学館ではALTではなくNETと呼んでいます。日本人教員だけでは、教材作成・授業デザインの際、どうしても限界があります。そこで、NETの視点からのアドバイスをもらうと、『早く授業がしたい!』と思うような教材・授業案が完成することが多くあります。智学館で英語を学べて本当に良かったと心から生徒が思ってくれるような英語教育を目指して、日々努力してきたいと思います」と森本教諭。
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