社会性育てる生活指導と
充実の学習・進学指導
「生徒が高校生としての自覚やプライドを持てるように」と、サポート校の中で極めて全日制高校に近い環境を整えている同校。クラブや委員会、通年の行事があり、生徒たちはのびのびと学校生活を満喫している。一方で、自由な校風のサポート校が多い中、制服や校則を定め、生活指導に重点を置いているのも、同校の大きな特長だ。
「高校卒業の資格をとることはそれほど難しいことではありません。それより、卒業後に社会の中で生きていけるよう、守るべきルールをしっかりと教えて、次のステップへ送り出したい」と市川学院長。生徒の最終的な幸せにつながるというコンセンサスの下、全教員が生活指導を徹底し、生徒たちの社会性を育んでいく。
生活指導とともに力を入れているのが、学習指導と進路指導。1年時は習熟度別クラスに分け、英語と数学は習熟度別授業を設けている。2年時からは一般入試に向けた「特別進学クラス」とAO入試や推薦入試に備えた「一般進学クラス」に分け、進路や受験の形態に応じた力を身に付けることができる。力を蓄え、難関私大や医学部へ進む生徒もいる。
サポート校では通信制高校に在籍し、定期的にレポートを提出、単位認定試験を受けて卒業資格を得るが、もちろん、そのための対策指導もしっかりと行っている。
ユニークなのは、午前は共通科目の授業、午後は必修の選択科目にあてていること。年度初めに生徒へのアンケートで決めた25講座(平成21年度)の中から好きなものを2つ選び、主体的に学ぶことができる。「声優」「フットサル」「ギター」「英検対策」「数学演習」など、各人の才能を伸ばすものから、資格取得や進学に向けた講座まで、幅広い内容だ。
「通学がつらい、という生徒もいるので、まずは好きなことから学校に馴染んでもらい、午前中の授業で、基礎的な学力をしっかり身に付けていくという形です。しかし、ただ好きなことをやらせるというのではなく、生活指導をきちんとすることで、メリハリをつけています」と市川学院長は説明する。
スモールステップから始め
個々の不安を解消
ここ数年、新入生、転入生ともに、個別指導の学習塾からの紹介というケースが急増している。「マンツーマンで面倒をみてもらえるので、中学校ではなく、塾の先生に進路の相談をする生徒が増えています」と市川学院長。
こうした生徒を含め、大学進学を目指して入学してくる生徒が圧倒的に多いなど、年々進学志向が高まっている。
しかし、目標があっても、不登校を経験し、通学に不安を覚える生徒も多い。そんな生徒へのフォローこそ、サポート校ならではの強み。うまく学校生活を送れるよう、日頃から教員がフォローするのはもちろん、週5日制を週3日から、あるいは午後の選択授業だけからなど、生徒の状況に合わせてプログラムを組み、スモールステップから始めることができる。
しっかりした生活指導ならびに学習指導・進路指導、手厚いフォローが効を奏し、同校の出席率は年々上昇、現在は約8割と、サポート校の中でも極めて高い。卒業についても、「それが最低限の義務です」と市川学院長は断言する。
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「うまくいかないことは
強くなれるチャンス!」
保護者との連携が密接なのも、同校の特長だ。保護者との連絡や相談をベースに個々の指導をしていく、という方針を徹底している。「問題があったからではなく、生徒の成長が感じられるようなことなどを、日頃から連絡するようにしています」と市川学院長。
保護者側の学校への関心も高く、保護者会や卒業生保護者の会である校友会の活動が盛んだ。
「体育祭や文化祭は毎年、保護者の方と卒業生であふれかえって、生徒より多いぐらいです」と市川学院長は笑いつつ、「卒業したら終わり、というのではなく、いつでも遠慮なく本校に戻ってきていただけるよう、アフターケアを大切にしています」と力を込める。
厳しくも温かい指導で、たくましく成長していく生徒たち。転入生を随時受け入れていることも、人との付き合い方を学ぶよい機会になっている。人間関係を築くことが苦手な生徒もいるため、1、2年時は仲間ともめることもある文化祭も、3年生になると他人と協調して見事に成功させる。
「次第に生徒たちの表情や眼差しが変わってきます。自信がついてきますし、さまざまな事情で入学してきた生徒たちが、一緒に学校生活を送るうちに、お互いを理解し合い、他人に寛容になっていく。むしろ、山あり谷ありの生徒のほうが、卒業してからうまくいきますね」
最後に、悩みを抱える子どもたちへ、メッセージをもらった。
「うまくいく時もあれば、いかない時もある。うまくいかないことがあっても、長い目でみたら、いつ起きるかの違いでしかありません。むしろ、それをバネに強くなれるチャンスだし、いくらでも選択肢はあります。今はつらくても、未来は希望に満ちているから、夢をあきらめないでほしい」
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