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中学・高校受験:学びネット

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東北工業大学高等学校

 
  生徒は未来からきた留学生 「ひとづくり」から学力の基盤固める
「3年後のキミが自慢──出口指導に自信あり」を教育のトップキーワードに掲げる東北工業大学高等学校。生徒は「未来社会からの留学生」と位置づけ、社会人として品位ある人格形成を目指している。平成23年の創立50周年を控え、昨年「学校3像」として、学校像・教師像・生徒像とそれぞれのあるべき姿を定めた。学校が一丸となって変わろうとする姿勢に地域の人からも温かい目が注がれている。

校 長: 矢吹 隆志
住 所: 〒982-0836 宮城県仙台市太白区八木山松波町5番1号
電 話: 022-305-2120(入試広報室)
交 通: JR「仙台」駅西口バスプールから11番(市営バス)緑ヶ丘三丁目行、八木山南団地行、動物公園循環。12番(宮城交通バス)八木山動物公園経由長町駅行、いずれも「八木山神社前」下車徒歩3分
学生数: 1,044名 (2009.07.1現在)
ホームページ: http://www.tohtech-h.ed.jp

 

ものづくり・ひとづくりの
伝統を生かした改革

 「私が着任した3年前は、まだ工業高校のイメージが強かったですね。でも一方で、それはものづくり・ひとづくりを大切にしてきた伝統でもあったわけです。私はまず人を育てることをモットーに、学校全体を見直そうと思いました」と矢吹隆志校長は語る。

 改革の柱は大きく4つある。「生活指導」「生徒会・部活動の活性化」「地域連携」「授業改善」だ。

 「生活指導」では、教師が毎朝通学路や校門に立ち、挨拶することから実施。遅刻者は会議室で作文を書く。その結果、遅刻者は激減した。「物を書く訓練にもなります」と矢吹校長は笑う。

 「生徒会・部活動の活性化」では、これまで教師主導だった体育祭などの企画を生徒に任せた。すると生徒は他校の体育祭を見学し、種目を研究。ユニフォームやラケットを持って走る部活動対抗リレーなどを企画し、内容も充実したものとなった。

 また部活動では、バレーボール部、バスケット部のコーチに全国レベルの実績を持つ専門家を招いた。吹奏楽部には、これまで全国大会に15回出場させた経験のあるベテラン教師が音楽総監督に就任。高い目標を持って、練習に励んでいる。すでに実績を誇る空手部やレスリング部に加え、卒業生の中にはフェンシング日本代表で、2008年の世界ジュニアで優勝した生徒もいる。

 今年もっとも注目されたのは、野球部の新監督就任だ。角晃司先生は東海大相模高出身で、巨人の原監督の1年後輩にあたる。その後大学・社会人野球でも活躍し、コーチ歴も長く、「アマチュア球界きっての指導者」と言われていた人物である。

 「とても東北に来てもらえるとは考えられなかった方。99%は無理だと思いながら、一度学校に来ていただいた。お会いしたら『高校野球の指導はあこがれだった』と話してくださった。そして最終の新幹線で帰られる間際、『校長先生、私来ます』と言ってもらえたのです」

 今春から始まった野球部の指導を見て、矢吹校長は驚いた。「私の予想をはるかに超えていました。生徒の顔が3日で変わった」。きっかけは角先生の「私は野球が大好きだ。だけど野球が好きな人間はもっと好きだ」という言葉。野球と生徒に対する限りない愛情に生徒たちは心打たれ、以前にも増して意欲的に熱心に野球に取り組むようになった。地域の人たちもあまりの生徒の変貌ぶりに、野球部の練習を見学するようになったほどだ。

教員が本気で取り組む授業改善

 同校が掲げる改革のひとつ「地域連携」では、「この学校の傍に住んでいることを誇りに思える学校を目指します」と矢吹校長。地域の方々との交流の場を数多く設けている。

 夏休みには、冷房の効いた校舎を小中学生が宿題するスペースとして開放。地域清掃のボランティア活動も盛んで、これは単位としても認められている。6月は保護者だけでなく、一般の人も参観できる学校公開を行った。「良い面も悪い面も見ていただき、厳しい指摘をしてもらうことも大切。苦情は学校の宝です」。

 卒業生も母校を見守っている。同校の卒業生は宮城県内で起業し、ものづくりの第一線で活躍する人が多い。同校の就職率は100%だが、こうしたOBのネットワークの力も強い。その人たちの願いは「自分たちに続く人をつくってほしい」ということ。地元に愛される学校づくりは、私学にとっては不可欠だと矢吹校長は語る。

 「授業改善」については、昨年の後半から取り組み始めた。教員同士が授業を見合い、「授業アドバイスシート」に評価を書き込む。今年はさらに授業の様子をビデオに撮り、コンピューターが分析する。

 「これは教員の評価ではなく、あくまでも授業の評価です。授業の構造が本当に有効かどうかを診断し、授業の質をワンランク上げる。最終的に生徒の学力を向上させることが目的です」

 しかし、「授業改善は非常に難しい課題」と矢吹校長。「先生方にとっては『人の懐に手をつっこむような感覚』があり、評価するにも『良かった』で終わってしまう。それでは何にもなりません」
そうした雰囲気を除くため、校内に「授業研修校内研修会」を立ち上げた。授業づくりの基本と分析方法を学ぶのが、この研修会のねらい。6月に第1回が開催され、講師は宮城教育大学・安藤明伸准教授ほか、東北工業大学の先生もアドバイザーに加わった。また教員資質向上対策役員として、宮城県佐沼高校で大改革を行った、久力誠氏を参与に迎えた。この研修会は、地域の中学校の先生方も参加可能。一緒に学んでいくことで、地域全体のムーブメントにしたい考えだ。

 「一部の生徒の進学実績だけを上げればいい、優秀な生徒を入学させて進学率を上げる、というのは、本来の教育ではないと私は思っています。『3年後の君が自慢』というキーワードはすべての生徒のためです」

 「学校3像」としての「学校像」「教師像」「生徒像」が昨年制定され、今年は生徒手帳にも記載された。この理想の姿に向かい、教師も生徒も同じベクトルで歩み始めた東北工業大学高等学校。改革の成果に大いに期待が寄せられる。

 

 

 
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