目的別クラス編成で
それぞれの力に合わせた授業を
昨年度より設けられた3つのコース編成による指導も2年目を迎え、新たな新入生が今年度も入学してきた千葉商科大学付属高等学校。今年度は主たる併願校となる市川地区の公立高校が募集定員人数を増加させたため、受験生のうち、どれだけが実質入学してくるかの予想が立たなかったのだが。
「実際の入学者数は、昨年度よりアップし、募集定員をオーバーした286名でスタートしました。また、私立と言えば遠距離通学の生徒が多いと思われがちですが、今年度は地元からの通学生も増えています」
そう語るのは遠藤行巳教頭。千葉商科大学付属高等学校は、学力的に幅広い層の生徒が集うため、以前より一人ひとりの学力や目標に合った丁寧な指導を心掛けている。昨年度より取り入れられたコース制は、さらにその指導を具体化・細分化しており、高評価への一端を担っている。
コースは普通科と商業科に分かれ、商業科は付属の千葉商科大学や、ほかの商業系大学への進学を目的とした授業が行われる。一方、普通科は、国公立大や難関私立大を目指す特進クラスと、上位大学や千葉商科大学を目指す一般クラスに分かれて受験する。それぞれの目標を入学時からしっかりと決めているので、一年のときから異なるカリキュラムで指導が進められることになる。
特進クラスは週4日が7時間授業、土曜日も隔週で4時間授業が行われて、週33時間授業を確保。さらに特別進学補習も行われており、公立進学校とは比べものにならないほどの授業時間で、受験科目を徹底強化しているのだ。特に英語は県内私立高校でも、トップレベルの授業時間を誇っている。少人数制クラスに加え、時間をかけることで、一人ひとりに適切な丁寧な授業が行えるようになっている。また、夏期休暇中の講習も、のべ15日間開催される。この講習では、予備校から講師を招き、校内とは違う内容の授業が受けられると評判である。さらに、2年生には新しい試みとして、夏の合宿ゼミが予定されている。このほかにもチューター制を5月上旬にスタートさせたり、千葉商科大学で行っているTOEFL・TOEIC受験のためのe-ラーニングを導入(予定)し、いずれは全教科でe-ラーニングの実践などといったさまざまな指導形態を企画。生徒の目標達成に向け、学校全体が熱を上げている。
「現在、早期導入を予定して用意を進めているe-ラーニングは、まずは特進クラスで始め、徐々に一般クラスでも取り入れて行こうと考えています」
遠藤教頭の語る一般クラスでは、一年間の基礎的学習をしっかりと踏まえた上で、2年次に各自の目標に合わせて4年大学文系進学コース・4年大学理系進学コース・千葉商科大学進学コースの3コースから選択することになる。無論、コース内でも受験科目に合わせて授業が選択できる。例え、その授業を選択する生徒が2〜3人でも、生徒に必要であれば授業が行われることになるのだ。
現在特待生制度も導入し、生徒の学習意欲をかきたてている千葉商科大学付属高等学校。一般コースの生徒でレベルの高い生徒には、本人の希望により特進クラスへのステップアップが図れるようなシステムの導入も発案されており、さらに生徒の選択肢が広がることになる。
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資格を取りながら進学へ
商業科と千葉商科大学進学コース
一般クラスの千葉商科大学進学コースと、商業科では、将来、千葉商科大学をはじめとした商業系大学への進学を目指した授業が行われる。特に商業科では、一般クラス千葉商科大学進学コースが2年次から商業科目を取り入れるのに対し、1年次より商業科目をカリキュラムに導入。千葉商科大学がどういう生徒を求めているかを知り、大学でさらに力を伸ばせるような基礎知識を固めるという高大連携プログラムが取り入れられている。簿記や情報処理の授業時間も多く割かれており、卒業までに各種資格検定を受検可能。特に簿記検定では、3級で100%、2級では80%の合格率を誇る。中には最も難しいと言われる1級検定を卒業までにクリアする生徒もいるほどである。
「千葉商科大学の評価も上がってきているので、そのまま千葉商科大学へ進学を希望する生徒も年々増えています。また、中には他大学を受験したいという生徒もいます。ただ、第一希望での指定校推薦は受けられない上に、授業内容も他大コースとは違うため、かなりの努力をしなければいけませんが、教員もサポートしていきます」
残念ながら、この商業科は男子生徒のみ。しかし、女子の中にも一般コースで商科大学へ進学する生徒が増えており、今後の対応が期待される。
エゴグラム導入による
豊かな心の教育を
高校入学という受験の重圧の後、さらに大学受験を控えている生徒たちは、高校3年間、精神的に不安定な時期を過ごすことも多い。それらを解消し、豊かな心を育成するために行われるのが、エゴグラムによる教育プログラムである。エゴグラムとは性格分析テストの一種であり、自分の性格を判断し、より良い方向へ持っていくためのシステムで、生徒の性格把握のために導入している学校は多い。しかし、それを頻度をあげて、日々の教育活動に活かしている学校は県内唯一である。エゴグラム診断で分けられた、グループ体験学習によるコミュニケーション能力の向上を行ったり、エゴグラム結果による自己改善プログラムを組み、生徒の心の発達に力を注ぐ。そして、その結果をまたエゴグラムで分析。生徒自身も自分がどれだけ成長したかが、一目でわかるようになっているのだ。
また、学習のための環境整備としては、毎秒1ギガビットという高速回線を使った県内でも数少ないIT教育がトップに挙げられる。そのLANは校内施設のいたるところに繋がっていて、パソコンを繋げば食堂でも調べ学習が可能だ。
グラウンドも最先端の技術(夏場、一般的な人工芝より2〜3℃表面温度が低い。毛足が長く、スライディング時のケガを少なくするなど)をつかった人工芝で覆われ、生徒の安全な運動を確保するなど、安心した高校生活が送れる設備が整えられている。
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