2021年度入学金免除で
生徒の学びを支援
中学校は昨年から、コースを再編。「スーパー文理コース」と、「学際コース」が設置された。中高一貫の「スーパー文理コース」は、高校教育課程の先取りを行い、難関大学の現役合格を目指すコースで、充実した学習時間とハイレベルな学習を提供する。理数系に多くの卒業生を輩出しており、保護者からの理数系の資格を取得させたいというニーズに応え、理数系探究にも取り組んでいるのが特徴である。
「学際コース」は、生徒の主体性を尊重し多様な進路に対応できる実力を養成。座学や教科書にとらわれない指導に力を入れている。例えば、週に3回設定されている〝SHIN-AI 講座〞では、英会話、速読、プログラミングなどタブレットを活用した自主学習を実施。また、部活動や各自が継続する習
いごとなど、各種課外活動との両立も実現している。
「学際コース」は、高校進学時に自分の進路に合わせて、さらにコースを選択。国公立・難関私立大学を目指す「文理コース」、文系の難関私立大学を目指す「進学ソレイユコース」、私立大学を目指す「進学エトワールコース」、看護医療系大学・専門学校を目指す「看護医療コース」、保育・初等教育系大学を目指す「子ども教育コース」の5コースが用意されている。「看護医療」や「子ども教育」では、併設の幼稚園などでの実習が可能。また、2021年開学予定の大阪信愛学院大学の看護学部や教育学部への進学を選択することもできる。
「高校では、いずれのコースも進路実現に向けた教科の勉強を充実させます。中学校の3年間では、社会で生きる力を身につけるためのさまざまな体験をして、いろいろな能力を伸ばしてあげたいと思っています」と藤林副教頭は話す。
さらに同校では、こうした状況で学ぶ機会を奪われる生徒がいることに配慮し、2021年度入学生全員の入学金免除を発表。「今こそ信愛の力を」と、新型コロナウイルス感染症に負けることなく、学びたい生徒を支援する。
1人1台タブレットを所有
先進的なアプリで能力を伸ばす
柿山 節子校長
「これからのグローバルな社会で生きていくためには、主体的に物事を考え、自分の意見を自分の言葉で相手に伝える力。さらに他者の話を聞き互いの違いを認めながら、協働して解決に向かう能力が必要です」と話す藤林副教頭。ICT教育に力を入れ、1人1台タブレットを所有している同校では、先進的なアプリケーションを導入して特色ある教育を実践している。
今年度から導入した〝ENAGEED(エナジード)〞では、AIやロボットにはない、人に求められる力を養成。「身近にある問題に気づくことから始め、それを解決する方法を考えます。答えが一つではない問題に取り組み、自分で考え、グループでの意見交換を通して社会の問題に対処できる力を身につけます」。また、「論理エンジン」という国語教育システムも使用しており、国語の読解力を上げるだけでなく、論理的思考の形成を目指している。速読プログラム「TERRACE」では、点滅したり、高速で流れたりする情報(文字)を読み解き、それらを瞬時に理解して処理する力を鍛える。
一方では、自分たちの考えを多くの人の前で発表する機会も用意されている。中学3年生では卒業レポートの作成・発表を行うだけでなく、自分の得意なことを生かし、友人とやりたいことをかけ合わせることで、ワクワクするような新しい仕事をつくり、プレゼンテーションを行う。
ほかにも、弁論大会、英語発表会、文化祭探究活動プレゼンなどを実施。昨年の文化祭探究活動プレゼンでは、1年生がSDGs(Sustainable DevelopmentGoals)についての発表に取り組んだ。
「地球が抱える問題を、地球市民の1人として考えるきっかけになりました。教科の力に加えて、表現力・判断力・思考力なども身につける必要があります。本校の生徒は、素直でひとの意見をよく聞き、『私は、私は』と他者を差し置いて主張するようなことはありません。不満を言うことも少ないようです。他人のことを考えて自分のことは二の次。思いやりの心が深く優しいという、その良さを生かしながら、打たれても打ち勝つタフさも身につけてほしいのです。自分の考えを持って意見を主張することも必要、議論する中で99回否定されても、100回目にお互いにわかり合えることもあります。『繊細でタフ』、そんな女性に育てていきたいですね」
|
|
英語力と国際的な感覚を身につける
自然な英語で自分の意見を発信
「現在は、議論やプレゼンを日本語で行っていますが、これらを英語で行うことが目標です。教室での授業に加えてオンライン英会話を導入することで、発話の機会を増やしています。そして、海外の人と会話をするときに、自国の文化を自然に話題にできるように華道・茶道などの日本の文化を学んでいます。そういった教科書の例文には出てこないような、自分の考えを表現するための英語を習得します」
さらに、英語力とグローバル感覚を育てるために、昨年、「Shin-Ai GlobalCommons」が設立された。ネイティブ教員と英語科教員が常駐し、グローバル市民となるのにふさわしい英語力と国際的な感覚、そして伝統的なマナーを身につける。短期から長期までの留学プログラムや国内でのイングリッシュキャンプの実施、英検やGTECなどの各種検定対策や英語学習のアドバイスも行われる。
「生徒は気軽に足を運んで、コミュニケーションを楽しんでいます。週に1回、朝礼でグローバルコモンズの教員が英語のクイズを出題します。『答えがわかったら、グローバルコモンズへ』と、訪れやすいようきっかけづくりもしています」
ボランティア活動は当たり前
東北への訪問は10年目
新型コロナウイルスの影響で休校を余儀なくされたが、充実したICT環境によって、リモートで授業を継続した同校。大学入試のデジタル化も視野に入れ、タイピングの力を育てることも忘れていない。
「休校や行事の中止、大学入試の先行きも不安ですが、そんな中で『こんな体験をしたら、これから先に何が起こってもやっていけるよね』という生徒がいました。少しずつ、タフさを身につけているのだと実感しています」と藤林副教頭。
「心の教育」を大切にする同校では、ボランティア活動は当たり前。生徒は積極的に参加し、東日本大震災以降、毎年夏休みには東北に赴く。募集定員よりも希望人数が多く、志望理由書で参加の可否が決められるとか。実際に行けない生徒も寄付金などで参加している。
充実のプログラムで、一人ひとりが主体性を持ち、可能性を最大限に伸ばして、国際社会で貢献できる人間を育成。来年度からは、併設の短期大学が、4年生大学(共学)となって開校予定である(現在申請中)。さらなる発展を目指して、力強く進化を続ける同校の未来はますます輝いている。
|
|