これからの時代に必要な力を育む
IBコース
IBコーディネーター
鍵村 信正 先生
大阪女学院は、中学はコース別のないリベラルアーツのカリキュラム。高校には普通科(文系・理系)、英語科(英語コ―ス・国際バカロレアコース)がある。同校が導入したのは、国際バカロレアのうち、日本語による「ディプロマ・プログラム」。これは「Theory of knowledge= 知の理論」「Extend Essay= 課題論文」「Creativity. Activity. Service= 課外活動」の3つのコア領域と6つの教科、具体的には「言語と文学」「言語習得」「個人と社会」「科学」「数学」「芸術」で成り立っている。言語習得と数学は英語で授業を行う。
■参加者 英語科国際バカレロアコース2年
•IBDPコーディネーター 鍵村信正先生
•マリアーニ亜矢ソフィアさん
•大本彩楽さん
大本 彩楽(さら) さん
マリアーニ 亜矢
ソフィア さん
――入学の動機についてお聞かせください。
マリアーニ亜矢ソフィアさん(以下・マリアーニ) 「ディプロマ」という認定資格があると、世界各国の多くの大学で正規の入学資格や受験資格として認められ、さらに、IBの教育は自分で考え、答えを出すことができる点に魅かれました。
――将来的には海外の大学を受けたいということですね。大本さんはいかがですか。
大本彩楽さん(以下・大本) 私は共学の高校から大阪女学院に入学しました。中学では、先生が一方的に授業を行うスタイルでしたが、自分で主体的に学ぶ教育を受けたいと思ったのがきっかけです。共学だと女子は男子の目を気にして控えめにする傾向があります。自分の殻をやぶらないと、本当の友達、仲間もできない。そういう意味でも女子校を選びました。
――実際に入学してみてどういうところが面白いですか。
マリアーニ ある質問をされ、どっちの答えもありうる場合、絶対にこっちの答えだと思っていても、ほかの人の意見を聞き「こんな考え方もあるんだ」と新しい発見がある。それが面白いです。
大本 女学院に入ったときに、一人ひとりがすごく自分の意見を持っていることにあこがれました。現在9人のクラスで、対立することもありますが、自分の意見を言えることに喜びを感じています。
日本語ディプロマ・プログラムでの
学び
――3つのコア領域と6つの教科についてお聞きします。
鍵村信正先生(以下・鍵村先生) IBの本格的なプログラムが始まるのは2年次からです。1年次は通常の授業に加えてIBの手法を用いた授業を展開しています。1年次は英語科に所属し、カリキュラムと卒業認定科目を1年の間にできるだけ終わらせます。
――バカロレアらしい授業というのはどうですか。
鍵村先生 DPの中核的な学習プログラム、TOK(「Theory of Knowledge」知識の理論)があります。TOKは、教科の枠を越えて論理的思考力や批判的思考力(クリティカル・シンキング)、コミュニケーション能力などを養います。知識とは何か、知識をどう獲得すればいいのか、知識をどう使いこなすか、といった課題について、自分たちで問題を設定し、自ら学習していきます。いわば「正解のない問題」に対応していく力を身につけるための学習といえます。TOKでは、基本的に毎回グループ・ディスカッションを行います。
――マリアーニさんは海外の大学を受験されるんですよね。
マリアーニ はい。IBは平和の思想が基盤にあり、本校の教育理念「愛と奉仕の精神」とも共通しています。いろいろな人の話を聞き、『国連』などで世界の平和のために働きたいです。
大本 私は国内の大学に行って、教育分野で活躍したいです。教育の最先端を担う『文部科学省』で働きたいです。
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――バカロレアならではのやりがいはなんでしょうか。
マリアーニ IBの目指す学習者像として、「探究する人」「心を開く人」「知識のある人」「思いやりのある人」「考える人」「挑戦する人」「コミュニケーションができる人」「バランスのとれた人」「信念のある人」「振り返りができる人」という10項目が掲げられていて、それが将来やりたい仕事につながっているためモチベーションが上がります。
大本 大学に向けての準備だと思っています。姉が今年から大学1年生なのですが、入試に向け参考書を解いていく勉強をしていた状況から、突然、論文を書き、PCを使うことに取り組まなければならない。そういったことを全く知らない状態でやるのと、土台を準備して大学に行くのとでは雲泥の差があります。バカロレアで学ぶ人は有利です。
課題論文と課外活動
(CAS(キャス)=Creativity.Activity. Service)
――課題論文はいかがですか。
鍵村先生 テーマは本校が設定しているIB6科目から1つ選び来年の6月までに書き上げます。英語だと4000語、日本語だと8000文字の論文。A4で20~25枚になります。
マリアーニ 大学で習うこととつながっていた方が大学に入ってからの学問がスムーズなので、そういった観点からテーマに取り組みます。
大本 将来行きたい大学はオールイングリッシュなので、英語のスキルを上げるためにも英語を選択します。
――学術外活動(CAS(キャス)=創造Creativity 行動Activity 奉仕サービスService)の課外活動も必須ですね。
マリアーニ 来年10月31日までに、それぞれ週3時間程度、3つの内1つをしなければなりません。ランニング、飼い主のいないペット施設でのボランティア活動、子ども食堂での子どもたちとのふれあい、トマトの栽培、オープンキャンパスでの託児スペース設置などを企画・運営、実施しています。東京オリンピックを見据え、SNSを使って世界に日本についての発信もする予定です。
大本 去年の春休みからバレー部に所属して活動中。学問だけでなく楽しみながら人間関係も学んでいます。また、市民大会への出場を目指し、バトミントン部としても練習を重ねています。そのほか、小1から通っていた「そろばん塾」でのアシスタント業務、インターナショナルの幼稚園でのボランティア活動も計画中です。
鍵村先生 来年3学年揃うのが楽しみです。全国でIBを導入している高校のコーディネーター同士の横のつながりはもちろん、生徒同士の交流も深めていけたらと思います。
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