専願受験が8割を占める
高い目標を持つ入学生
東海大学付属大阪仰星は、全国大会に出場する強豪クラブが多いことで知られている。今年、中等部では準硬式野球部、ラグビー部、サッカー部が大阪大会で優勝する快挙を成し遂げた。ラグビー、サッカーは全国大会にも出場し、その名を轟かせている。すべての運動部を合わせると、昨年1年間でのべ45回も近畿大会以上の大会に出場しているほどだ(中高の数)。
今年、校名を仰星から大阪仰星に変更したが、ここにもクラブの活躍が関わっている。
「全国大会に出場するクラブが多いので、校名に大阪と付けた方が分かりやすいと考えました。今年、中等部にチアリーディング部ができたのですが、オ―プンスクールで演技を披露したところ、大変な人気を集めました。それを見た小学生のお子さんが、入学したらチアに入部したいと早速決めてくれました」と生徒募集対策室長の渡邊紀尚先生は話す。
運動部が練習をしやすいように、この春、人工芝グラウンドを新設。クラブの加入率は92・3%と高く、ほとんどの生徒が何らかのクラブに所属して活動をしている。学校内にクラブがない競技に関しては、学校外での活動も応援しており、レーシングバイク、カートなどを行う生徒もいる。また文化部の活躍も目覚ましく、放送部、吹奏楽部は全国大会の常連である。
校訓は、真の文武両道。クラブ活動に力を入れるあまり、勉強が疎かになっている学校は少なくないが、同校は勉強と課外活動のバランスを重視している。当然、勉強が最優先だが、学校行事やクラブ活動も同様に積極的に行っている。
「○○部に入りたい、○○活動をしたい、とほとんどの生徒は目標を持って入学します。ですから本校は専願率が非常に高いんです。勉強もクラブも両方に打ち込める点が魅力を感じていただいているようです」
今春の中等部入学者105名の内、80名が専願での受験だったという。高校も専願受験者が多く、大阪府内で専願率の高い学校の上位5位に入っている。
行事が多いことでも知られている。京都から学校まで42キロを歩く冬の耐寒行進、合唱コンクール、マラソン大会、イングリッシュコンテスト、東海大学発祥の地である静岡県・三保での宿泊研修など、毎月のように多彩な行事が行われている。
中でもメインイベントが、秋に3日連続で開催される「星河祭」である。この体育祭と文化祭(2日間)には、毎年4000人近い人が来場して盛大に行われる。生徒や保護者だけでなく、近隣の住民も心待ちにしているという。
新しい大学入試に対応した
万全のサポート体制
揚村 洋一郎 校長
現在、中等部には、国公立大や東海大学医学部への進学を目指す「英数特進コース」と難関私立大や志望する大学を目指す「総合特進コース」がある。
この内、英数特進では、中1から英語・数学・国語の先取り学習を行う。現在は7時間授業を実施しているが、次年度はカリキュラムを少し変更する予定だ。
「英数特進は、これまで総合進学より英語・数学の時間を多く設定していました。次年度はそれを見直し、授業数を若干減らします。両コースの生徒が一緒にクラブ活動をしやすくするためですが、授業の中身はより充実させるつもりです。勉強は当然大事ですが、本校は心身共に健全な生徒を育てたい。カリキュラムを変更することで、放課後の時間が長くなります。自主勉強や補習授業をする時間に充てても良いし、やりたい活動を行っても良いと思います」
5年前からiPadを導入しており、全教科で使用している。授業で活用するのはもちろん、宿題の提出や連絡事項の送信、授業アンケートなど、さまざまな場面で活用をしている。
「家庭で予習をして、授業で詳しく説明する反転学習を行っています。デジタル機器は時間を効率的に使えるので便利ですが、そればかりになってしまっては良くない。ノートにしっかり書かせる授業ももちろん行っています」
同校では2020年の新しい大学入試に向けた指導体制を敷いている。新センター試験には数学、国語で記述問題が出題される。そのため数学の授業では1年次から記述問題に取り組んでおり、国語でも専用の教材を使って表現力や論述力を養っている。
英語では、長期休暇を利用したスピーキング集中講座やiPadを利用してのスピーキング指導も行っている。英数特進コースでは、3年次にネイティブ教員とのチームティーチングを導入し、英語での表現法や発音指導を行っている。
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東海大学との連携で
医師やパイロットへの道も
19学部75学科を有する大規模大学の付属校であるメリットを生かして、さまざまな課外活動も盛んだ。代表的なのは毎年8月に開催される「学園オリンピック」。14の付属校が集まって行う祭典である。スポーツ部門は学校対抗の競技会、文化部門は教科ごとにテーマを設定し、実験や議論を行ってプレゼンテーションを行い、その結果を競う。
「初めて出会う生徒とどうやってコミュニケーションをとれば良いのか。生徒は試行錯誤しながらも成長できる機会になっています」
東海大学へは校長の推薦によって入学が許可される。中でも人気なのが工学部航空宇宙学科のパイロット養成コースである。2、3年次は米国ノースダコタ大学に留学し、キャンパスに設置された「東海大学飛行訓練センター」で15ヶ月間の訓練を行う。試験に合格すれば、在学中に操縦士の免許を取得することもできる。
また、付属校全体の試験で上位に入れば、内部推薦によって医学部医学科への進学も可能だ。東海大学医学部は、2016年度にハワイ大学と提携し、世界で通用するグローバルスタンダードな医学教育を実践している。
次年度は入試方法を一部変更する予定だ。これまで国語、算数を各60分で行っていた試験を、各50分に短縮する。受験生への負担を減らすための配慮である。
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