生徒の可能性は無限大中学は1つのコースに集約
京都学園中学校は昨年度、中高一貫
コース(GN=グローバル・ナビゲー
ターコース)を開始した。以前は高校
の国際、特進ADVANCED、特進
BASICに合わせた3つのコース体
制だったが、それらを1つのコースに
集約した形だ。
「中学入学の段階では、生徒が目指
す進路はほとんど決まっていません。
目標は成長するにつれ変わっていきま
す。いわば可能性は無限大。生徒の将
来の選択肢をさらに広げたいという思
いでコースを改編しました。スタート
して1年余り経ちましたが、GN一期
生は、学習に対するモチベーションが
高く、学力向上が目覚ましい生徒が多
いです」と山田尊文教頭は振り返る。
コースは1つだが、生徒の適性に応
じて2つのクラスに分かれる。「GN
一貫クラス」は、6年一貫教育で難関
国公立大、海外難関大学への進学を目
指す。英数国は独自のカリキュラムに
よる先取り学習を行い、英検取得目標
は2級以上、高校卒業時には1級、
TOEFLiBT80~100を目指す。
「GN探究クラス」は、高校進学時
に4コースから進路を選択できる。英
検取得目標は3~2級となっている。
両クラスとも週3回7時間授業を行
い、1年次は、ネイティブと日本人の
ダブル担任制をとっている。朝礼やホ
ームルームはネイティブ教員が英語で
行うことで、自然と英語に触れる機会
を提供する。
「日常生活の中で使えば使うほど英
語は身につきます。中1 ではまだ
「型」にはまっていないので、英語の
学習を柔軟に取り組むことができます。
はじめはネイティブの英語が十分に理
解できない生徒が大半ですが、身振り
手振りを交えて、次第に会話ができる
ようになります。大切なことは間違え
ることの恥ずかしさより、英語が通じ
た喜びや楽しさです。これこそが英語
を伸ばす原動力となります!」
始業前から始まる課外授業英数特別講座で難問に挑む
佐々井 宏平 校長
「学力伸長講座」という課外学習が
充実しているのも特徴だ。始業前と放
課後に多彩な講座が開かれている。毎
朝8時からは、「ボキャブラリービル
ディング」という英単語の強化講座を
開催。「e-Spire」というe-Learning プ
ログラムを利用した4技能対策も行っ
ている。この4月からは、CNNニュ
ースを教材とした「イングリッシュ・
イン・カレントトピックス」を開講
(選抜生徒対象)する。また、生徒が
しゃべった英語が正しく発音できてい
るかをAIが判断するシステムを導入
し、スピーキング力の日常的向上も目
指している。
放課後は17時35分まで様々な講座が
揃っている。中でもユニークなのは週
に1回開催される「超数学」だ。数学
の超難問にチャレンジすることで、論
理的な思考力や表現力を鍛えるのが目
的である。もちろん、来るべき大学受
験において、高い目標を突破していく
ための素地を作ることにつながる。実
際、この講座の受講生から東大や京大
などの難関国公立大学の合格者を輩出
していることがその証左である。
「超数学では、教員が作成したオリ
ジナルの教材を使い、生徒が自分の解
法を説明していきます。かなりハイレ
ベルですし、学年横断講座ですので、
時には上級生より下級生の方が秀逸な
答えを見いだすこともあります。これ
がお互いにとって刺激になるのです。
切磋琢磨することを学んでほしい。」
また、放課後には「学園寺子屋」と
いう自習時間も設けている。中学生用
の自習室で、生徒たちは中学生の段階
から主体的に学ぶ姿勢を養う。教員が
常駐しているので、質問や相談もでき
る。終了時間が19時と遅いため保護者
の許可が必要だが、現在8割の生徒が
登録・参加しており、冬期には下校専
用のスクールバスもある。
さらに京都学園独自のユニークな取
り組みが、隔週土曜に実施している
「地球学」である。科学、地球環境、
文化・歴史など教科の枠を超えたリベ
ラルアーツ学習だ。これまで、京都の
地層を採掘したり、平和に関する調査
学習、農作物の栽培など様々な探究型
プログラムを実践している。
「地球学は、本校教員がプログラム
のすべてを手間ひまかけて考えていま
す。たしかに準備は大変ですが、教員
自身にとっても学びであり、生徒と共
に成長できる場となっています。毎年
11月
に
は
京
丹
波
地
域
の
農
家
に
お
世
話
に
なって民泊を行っています。これまで
生徒が地域の農作物を利用した新しい
ビジネスプランを提案すると、実際に
試作品を作ってくださったり、年度末
の合唱コンクールにゲストとしてご招
待したりと、双方向の交流が実現して
います。4月、3年生は京都の日本料
理店で出汁の取り方を学びました。5
月に海外研修で訪れたカナダの学校に
おいて、現地のみなさんに「日本文化
紹介」として出汁についてレクチャー
し、うどん作りを実演すると、「とて
もおいしい」と好評を得ました。海外
へ行くことは、異文化を理解するのみ
ならず、日本の文化を相手に伝えるこ
とで、自国の文化について深く理解す
ることになります。また英語で必死に
伝えるという経験は、大きな達成感や
自信を得ることにもつながります。地
球学で将来の目標が決まったという生
徒がたくさん出てくることが私たち教
員の一番の楽しみです。」
この地球学では、1年間の集大成と
して生徒各自がテーマを決めプレゼン
テーションを行う。3年次には、半年
かけて卒業研究に取り組み論文にまと
める。
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英語は〝超高校級〟の国際コース全校生が海外研修に参加
高校には、特色のある4つのコース
がある。「国際コース」は、日本人と
ネイティブのW担任制をとっており、
イギリス・カナダへの長期留学(7か
月または1
0か月)を含む高校3年間で、
確かな学力、卓越したコミュニケーシ
ョン能力、国際的視野と多様な価値観
を身につける。SGH探究型プログラ
ム「KOA Global Studies」では、国内
外の高校・大学の教員や学生、国際機
関職員、グローバル企業の方々と共に、
実社会が抱える課題に対して「国際開
発協力モデル」「ビジネスモデル」を
研究・開発する。知的好奇心、経験値
の高い生徒たちは、国際教養大学、早
慶上智、ICUといった国内のトップ
レベルの大学や海外難関大学などのさ
まざまな学部・学科に所属している。
「国際コースの生徒は、卒業時には英
語が 〝超高校級〞 になるほどです。ハ
イレベルな英語力を活かして、難関大
のAO・推薦入試に合格する生徒も多
数います」
東大、京大、医学部への現役合格を
目指す「特進ADVANCEDコー
ス」では、3年間月金7時間授業と放
課後の学力伸長講座を実施。土曜日に
は、探究型学習「Science Global
Studies」や超数学で理数系科目の知
的好奇心を高めます。コース専用の校
舎に独立型の自習室も備えており、難
関大受験に向けての英数ハイレベル講
座や1対1の個別指導・添削指導も行
っている。
「特進BASICコース」は、文武
両道を実現しながら難関私大、国公立
大への合格を目指すコース。英語を軸
として、文系では国語・社会、理系で
は数学・理科を徹底的に伸ばしていく。
そして「進学コース」は基礎学力をし
っかりと身につけて有名私大を目指す。
中学・高校とも生徒全員が海外研修
に参加するのも京都学園の特徴だ。中
学では3年次に、カナダ東部のノバス
シコア州の教育委員会の全面的な協力
を受け、全員がホームステイを経験す
る。また現地校の授業やアクティビテ
ィなど様々な体験を通じて、カナダの
社会や文化の「多様性」を肌で学ぶこ
とができる。
高校はコースによって訪問先が異な
るが、国際コースはカナダまたはイギ
リスへの長期留学(7か月または1
0か
月)。特進ADVANCEDコースは、
イギリスへ3週間、特進BASICコ
ースと進学コースは、アメリカへ1週
間の予定だ。
心を磨き、視野を広げ、頭脳を鍛え
ることをモットーとする京都学園。グ
ローバル社会を迎えた今、真の国際人
の育成に取組んでいる。
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