女子教育に特化してめざす〝凛とした美しい人〟づくり
同校では1年次の早い段階から、それぞれの将来に向けた特色ある授業、行事を展開している。叶えたい夢を最短距離で実現できるカリキュラムになっているのである。女子キャリアの育成に焦点を当て設置しているのは、国際科・特進コース(文系)・特進コース(薬学系)・標準コース・看護進学コース・幼児保育進学コース・吹奏楽コース。標準コース(次年度より「総合進学コース」に改称)は、入学時に将来の夢を描けていなくても、基礎からじっくり学び、方向性が見えてきたところで選択科目を選べる。まずは、併設大学(大阪国際大学・大阪国際大学短期大学部)へ内部進学する生徒が多い標準コースと幼児保育進学コース、外部進学する生徒が多いその他のコース・科に分け、1年次はグループ共通の履修科目を学ぶ。
今年、就任3年目を迎えた清水隆校長は、同校の校風を次のように語った。「文化祭や体育大会の学校行事でリーダーが生まれますが、何事にも臆せずチャレンジするリーダーシップには感心させられます。リーダーを支えようとする団結力もある。女子校の魅力だと思います」
特筆すべきは「小笠原流礼法」を全科・コースで取り入れ、「人に対する思いやりの心を育み、身につける教育」を10年間実践してきたことである。内面から自然とにじみ出る美しさをもつ女性を〝凛とした美しい人〟と表現し、理想の女性像として掲げる。
「礼法の集大成ともいえる卒業式で、生徒が壇上に向かい証書を受け取るときの立ち居振る舞い、所作が素晴らしい。臨席いただいた中学校の校長先生方から、『3年間しっかり育てていただいた』と感謝の言葉をいただき、とても嬉しかったです」
「合格体験記」で伝えた
チャレンジ精神の大切さ
清水 隆 校長
「国際科」は、担任または副担任の先生がネイティブスピーカーで、朝の連絡事項は全て英語で伝えられる。また、滞在時の拠点となる国際交流室で海外留学生と会話を楽しみ、インターンシップで派遣された外国人学生と授業や合宿をともにする等、実践的な英語に触れられる機会が充実。日々の授業で身につけた英語力を定着させ、国際的な感覚を磨ける場が豊富に揃っている。
今年、国際科から早稲田大学文化構想学部に入学し、夢に向かって大きく踏み出した卒業生がいる。その合格体験記には、高校生活を振り返り、学年・教科ごとの勉強方法が失敗談を含め細かく綴られている。合格の理由を、高校生活がたくさんのチャレンジと人との出会いに恵まれていたこと、そして、学校の勉強を完璧にこなしたことだと記している。
彼女は高2の修学旅行でカナダに行き、ホームステイでお世話になったホストマザーの生き方に大変感銘を受けることになる。その後、交換留学の制度を利用し再びカナダを訪れ、さらに英語力を伸ばすことができた。模試の成績を毎年10ポイントずつ伸ばし、最終の偏差値は70(国・社・英の3教科)に。部活との両立に悩んだことなど困難もあったが、クラスメイトの友情に支えられて大学合格を果たした。後輩に向け、「いろんなことにチャレンジしてください。その経験が受験勉強を頑張る原動力になります。努力は決して裏切りません」と説得力ある言葉で結んでいる。
「看護進学コース」では、1年次から看護系への仕事に特化した授業を展開。看護基礎を学ぶとともに、看護師体験・救命救急の講習を受ける。コース設置以来、看護系進学希望者100%が合格という快挙を成し遂げている。
また、昨年から国際科の生徒とともに5泊6日の「ベトナム医療ボランティアツアー」に出かけ、現地の病院で医療体験を行っている。白内障手術に必要な医療機具を調達し、手術に立ち会い、術後のケアまで研修する。引率の医師から、「本当に機敏に行動し、患者さんにも優しく接している」とその成果は高く評価されている。今後は、関西医科大学との高大連携も視野に入れ、ますます校内外での学びを充実させていく方針である。
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「総合進学コース」と改称多様な進学先をバックアップ
「特進コース(文系)」は、関関同立・産近甲龍をめざすコース。進捗度別授業のきめ細かいサポートで学力アップを図る。「特進コース(薬学系)」では、兵庫医療大学と高大連携して本格的な薬学を学び、薬剤師体験を通して職場全体について学んでいる。2014年の開設以来、希望者全員が薬学系大学に合格を果たし、大阪薬科大学に合格者を出すなど確かな実績を残している。
来年度、「標準コース」は「総合進学コース」と改称する。ダンスや演劇などの自己表現活動、企業や地域と連携した体験型カリキュラムを多く取り入れたコースに生まれ変わる。まだ見えていない将来を「探究」し、「発見」し、その目標に向け「挑戦」する。その学びから、社会で生き抜く力を養う。
「幼児保育進学コース」は夏休みと秋期に保育実習を行い、また、近隣の幼稚園児を招き遊び体験を提供。企画内容から反省点まで記録した「実習ノート」は、保育士になってからも役立つ貴重な教科書となっているという。「吹奏楽コース」は、音楽に関する専門知識を身につけるだけでなく、プロとして活躍する現役奏者の先生から個人レッスン(無料)が受けられるのが大きな特徴。演奏指導に留まらず、人生経験からも学ぶことが多い先生との師弟関係は、生徒の人生そのものを豊かにしてくれるということだ。卒業後は、音楽系大学へ推薦入学できる制度も整っている。
学習環境の整備にも積極的だ。今春、図書室をリニューアルし、自習スペースや個人ブースを大幅に増やした。朝7時から勉強を始める生徒も多い。また、授業動画「スタディサプリ」(リクルート開発)を学校の授業の補完として活用し、弱点を克服するよう指導している。
「3年後に大学入試が大きく変わります。どのような進路を選ぶにしても、求められる多面的な学力、社会で活躍できる能力を身につけて卒業させたい。そのためにも、前向きにチャレンジする心を大切にし、成功からも失敗からも学んでステップアップしてほしい」
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