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中学・高校受験:学びネット

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甲南高等学校・中学校

 
  来年100周年を迎える伝統の男子校
人物教育を通して「世界に通用する紳士」を育成
1919年(大正8年)神戸・岡本の地に開学し、その後、現在の芦屋に移転した甲南高等学校・中学校。損害保険業界の近代化に貢献し、大阪自由通商協会の常務理事を務めるなど、経済人として大きな功績を残した平生釟三郎によって開かれた歴史ある男子校である。人間性豊かで自立心を備えた「世界に通用する紳士」を育成するという教育目標を掲げており、経済界、医学界、法曹界などへ多数の人材を輩出してきた。100周年を前にして、現在、新たな教育ビジョンを作成中である。その内容や今後の構想を山内守明校長にうかがった。

校 長: 山内 守明
住 所: 〒659-0096 兵庫県芦屋市山手町31-3
電 話: 0797-31-0551
交 通: 阪急「芦屋」駅から徒歩20分
JR「芦屋」駅から徒歩25分
阪急バス7、12、31、32、131系統に
乗車「甲南高校前」下車
生徒数: 539名(中学校)
550名(高等学校)
ホームページ: https://www.konan.ed.jp/

 

校長自らが新入生と面談著名人を招いて心の教育も

 来年4月、創立100周年を迎えるのに先立ち、現在「100周年教育ビジョン」を作成している甲南高校中学校。「学びに集い共に成長する」を目標に、多彩な計画を進めているところだ。

 「本校は人物教育を重視しています。豊かな心を持ち他人を思いやる、健やかな身体を持ちたくましく生きる、自ら考え意欲を持って学ぶ、そんな生徒の育成を目指しています」と山内校長は話す。

 校長もできる限り現場に出て、生徒に接している。学期始めには毎朝校門に立ち、生徒に挨拶。校長室は所用がない限り開放しており、生徒が自由に出入りできるようにしている。「私は県立高校に通っていましたが、当時、校長先生と話せる機会などありませんでした。ですからもっと生徒の声を聞きたいと始めたのです」

 入学前に「6年間でやりたいこと」「興味関心のあること」「将来どんな人になりたいか」を提出してもらい、その内容を見ながらこれからの学校生活について話していく。

 「心の教育」という時間があり、様々な分野で業績を残した人物について、校長が講話をする。年に2回開催される「ソフィア講演会」は、各界の著名人を招いての講演会。これまで心臓外科医の須磨久善氏、JAXAではやぶさ開発に携わった川口淳一郎氏、登山家の野口健氏、キャスターの国谷裕子氏などが登壇した。「全生徒が講演を聞いてレポートを書きます。その中から選んで講演してくださった方に御礼の意味でお送りしています」

理系重視のフロントランナーコースフロリダ工科大へサイエンスツアー開始

山内 守明 校長

 中高一貫6年制を敷いており、現在2つのコースがある。「フロントランナーコース」は難関国公立大を目標にしており、週38時間授業に加え、特別授業も行なっている。理系教育を重視し、中2、中3では月に1回「サイエンス・ラボ」という実習型の授業を行っている。理科の授業も担当している校長は、ロケット打ち上げの実験についてにこやかに話してくれた。「小型ロケットの燃焼実験を行なったのですが、1機や2機ではつまらないと思い、10機を打ち上げました。準備が非常に大変でしたが、生徒が興味を持ってくれて良かったと思っています」

 この講座が好評を得て、今年から高2対象の「ハイレベル・サイエンス・ラボ」も開催することになった。大学での学びにつながる課題を設定して夏休みに半日をかけて行なう予定だ。

 「サイエンス・ラボの発展的な位置付けとして、この夏からフロリダ工科大学(FIT)へのサイエンスツアーを始めます。同校はNASAに勤務するエンジニアや科学者の養成を目的として創立された大学ですが、米国トップ13の工科大学に選ばれている大学です」

 旅程は4泊5日。NASAケネディ宇宙センターでロケット発射台やスペースシャトルを見学し、FIT教員によるロケット打ち上げ実験に参加する。他にも海洋生物学研究所の見学や天体観測も行う予定だ。

 「FITにはランゲージスクールがありますので、理系英語の授業にも参加します。将来、研究者を目指すには、専門的な理系英語が必要ですので、その体験もさせたいと考えています」

 また、国際教育の一環として「グローバル・ラボ」という探究型学習も行なっている。世界の歴史、宗教、資源、環境などをテーマに設定したアクティブラーニングである。

 もうひとつの「アドバンストコース」は、世界を客観的な視野から見る能力を身につけることを目標にしている。中3から「グローバル・ファウンデーション(国際教養プログラム)」を導入しており、高2になると、3ヶ月から1年の留学を行なう。行き先は、イギリスのベル・インターナショナルスクール、オーストラリアのラングポーツイングリッシュランゲージカレッジの他、アメリカ、カナダ、ニュージーランドなどにも用意されている。留学だけでなく、前後に教科横断型の関連授業を配しているのが特色である。

卒業生も参加するキャリア教育企業と連携したワークショップも

 甲南高校の卒業生は、伝統的に企業家が多いことで知られている。日本を代表する企業のトップも少なくない。そういう利点を生かしたキャリア教育が盛んである。中3で行なう「OBワークショップ」では、各界で活躍するOBを招いて、仕事に関するレクチャーを行なってもらう。高1になると、生徒が企業を訪問し、実際の仕事現場で経営方針や仕事のやりがい、将来の方向性などを聞く時間も設けている。「本を読むだけではわからない知識や情報が分かりますので、面白いです。生きた社会を学ぶことができる。生徒だけでなく、私たち教員も勉強になります」と校長は顔をほころばせる。

 昨年からは、企業と連携して課題の解決にも取り組んでいる。日本航空、大塚製薬、ローソン、森永乳業、グリコなどへ企画提案を実施。この内、日本航空への提案により「第8回トゥワイス・アウォード全国大会」で第3位に輝いている。

 大学の進学状況は、東大や京大などの国公立大を始め、難関私大へも多く合格を果たしている。連携校である甲南大学へは、内部推薦で進学することができる。また、医歯薬獣医学部を選ぶ生徒も多く、今年度は計157名が進学を果たしている。

 2020年の大学入学共通テストへの対応も進んでいる。国語では論理エンジンを導入し、作文指導を徹底。英語は多読プログラムを実施しており、4技能を重視した内容になっている。数学に関しては、余裕のある時間数を設定しており、問題演習を反復することで実力を身につけていく方針だ。

 偏差値一辺倒ではなく、人物教育を主軸にした甲南高等学校中学校。100周年の、その先が非常に楽しみである。

 
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