カリキュラム・マネジメントによる
“チーム平安”の展開
安定した定員管理と
入学生のレベルアップ
同校は、コース・コンセプトに基づき、2012年度より中高一貫コース(中学)と現選抜特進コース(高)は進学校化を打ち出した。大胆な方略と緻密なPDCAサイクルを通じて学校改革を行い、主役である生徒、支える保護者、教師が三位一体となる“チーム平安”による取り組みは、スモール・ステップによる成功体験を生み出し、結果的に大きな結果を生むということで注目度が高い。
ここ数年の傾向として、「中堅国公立大学に加え、難関国公立”京阪神“への志望者が増え、現役合格者が出始めたこと。医学部医学科への志望者が増え現役合格者が出始めたこと。首都圏の難関私学である早慶への志望者が増え、現役合格者が出始めたこと」と平井正朗校長補佐。また、「進学校化というのは、○○大学に○○人入ったかではなく、時代に即応するカリキュラムとサポート体制を整えた上で、学校全体がチーム一丸となって、生徒一人ひとりの夢に向けて努力し、社会に役立つスキルと人間力を身に付けさせ、第1志望決定率を高めるかにつきる」と付け加えられ、その上で評価される学校とは、「建学の精神を具現化する人間教育を実践し、時代に即応する教育展開の下、確かな授業力に基づく伸びが感じられ、毎年、成果が可視化できるのと同時に、社会に通用する人間づくりに成功している学校」と結ばれた。
各々の学年の担任が語る
生徒たちへのきめ細やかな指導
今年の中学受験を経て入学してきた生徒は全99名。彼らの希望に満ちた瞳の輝きを曇らせることがないように、大切に育てていきたいと語るのは、中学1年生のクラス担任である橋本謙教諭。まずは挨拶指導から始め、生徒が自分自身でできることを増やしていく。また、昼食も生徒たちとともに摂り、雑談などを経て生徒との絆を構築する時間を持つようにしている。
中学1年では特進Aクラスが1つ、特進Bクラスが2つ。学年最後に到達度別クラス編成が行われ、中学2年生に進学した生徒はAクラス2、Bクラス1の習熟度別に分けられる。そしてこの時期は、中学生として最も心の緩みが現れる時期でもある。習熟度上位レベルの生徒にとって勉強は成功体験につながるため、楽しく、やりがいのあるものになるが、中位レベル以降の生徒には、やる気が起きなくなる生徒もいる。その意識を変え、モチベーションをアップするのが自分たちの大きな仕事だと中2クラス担任の石川真也教諭は語る。また、英検などの成績が最も伸びるのも中2時期。中には4級から準2級までの資格を中2一年間で取得する生徒もいるほどだ。石川教諭は自身もはじめての担任経験だが、粉骨砕身で指導をしながら、生徒の成長を楽しんでいる。
中学3年ではさらにクラス編成が行われ、特進Sクラス1つと特進A2クラスに分けられる。そのSクラスを受け持つ間島裕之教諭は、実績や生徒の様々な力をアップさせ、今までの記録を塗り替えることを目標にしている。春早々に進路相談を行い、将来の目標を聞いて進学指導を始め、生徒の目標達成に向けて生徒に自信をつけさせていくよう心がけている。また、生徒がやる気を出し、学校に行きたいと思えるように、目標の掲示などで教室環境を改善した。
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きめ細やかで手厚い指導を行う龍谷大学付属平安。最も価値観が形成される中学生の時期に、担任を含む多くの大人たちと関わることで人間的な成長を導くのも、同校の指導の特徴である。
文化系・体育系ともに活発
全国大会実績も高いクラブ活動
文武両道を心がける龍谷大学付属平安では、クラブ活動も非常に盛んだ。創部11年目を迎えるチアダンス部では中学校で全国大会優勝歴を持つ強豪校。採点競技は他者との戦いではなく、自らを磨き、チームワークを強くして高い技術を披露することで採点がアップする。そのため、顧問を務める佐田茜教諭は、学年を超えて生徒同士のつながりが固くなるよう指導し、去年の自分たちの成績を超えることを目標に日々努力を続けている。
一方、フェンシング部は入部生のほとんどが初心者ばかり。しかし、どのクラブも平日は月・水・金にある放課後のゼミのために活動できないので、週3日、もしくは日曜日を加えた活動となる。「フェンシング部には全国大会への出場権を持つ選手もいるが、どの生徒にも過度な練習時間は取らせない」と語るのは顧問の角大輔教諭。「自分や相手の弱点を分析し、短時間でも効率よく集中して点数を上げるという練習方法は、勉強の基本とも通じるものがあり、どの生徒たちも文武両道を実践している」と竹内智一教諭。
文化部の強化も目指す同校ではクラブではなく同好会として実力を発揮しているものもある。
書道部は元教頭の草川薫人指導主事が顧問。最初は一人だった部員も今年は15名が入部する人気を保っている。また、日本学書展という書道の全国大会では特賞となる日本書芸院賞を中学2年生の生徒が受賞。生徒の良さを引き出すと同時に、道具への感謝を忘れないよう指導することで、実力をアップさせていく。
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