学校改革の成果が花開き
定員260名の高校に335名が入学
この春、高校のSコース(国公立進学)の募集人員を40名から60名に増やした京都橘。その結果、入学者が78名と大幅に増加した。Eコース(特別進学)は88名(定員80名)、Aコース(総合進学)は169名(定員120名)、計335名の入学者(定員260名)となり、予想を遥かに上回る結果となった。
「Sコースの定員を1.5倍に増やしましたが、学力レベルはこれまでと変わりませんでした。高いレベルの生徒が入学しています。当初は生徒が集まるかどうか心配でしたが、塾の先生方が「行けると思う」と評価をして下さり、決断をしました。昨年、国公立大へ71名が合格した実績を評価してくれたようです。また、本校へ入学した生徒は、明るくなった、よく勉強するようになった、という声も聞いており、うれしく思っております」と、就任4年目を迎えた三輪欣之校長は話す。
京都橘は、2014年から「プラン1200」という学校改革に取組んでいる。1200名まで生徒数を増やし、学校の安定化と施設設備を充実させようというプロジェクトだ。今春の大躍進の結果、昨年よりも100名以上増加し、生徒数は1157名を数えるまでになった。
「ここまで増えるとは、私自身も正直、驚いています。入学式はこれまで使っていたフェスティバルホールに加え、急遽第2会場を作ったほどです。急増の要因がどこにあるのかは、いま分析中ですが、長年積み重ねてきた本校への信頼度かもしれません。教室の数も足りないので、夏休みに工事をして新教室を作る予定です」
大学への進学実績も大きく伸びている。国公立大への合格者は68名。大阪大、神戸大、北海道大をはじめ、難関の防衛大にも合格している。また、今春は関関同立への合格者が130名と過去最高を記録した。
「実は東大、京大、国立大の医学科の入試に挑んだ生徒も数名いたのですが、あと少しのところで合格できなかったんです。これが残念でたまりません。私は長年、スポーツの世界にいますから、やはり高い志を持つ生徒はトップを目指してほしい。本校は、それを実現できるだけの支援体制を敷いています」と女子バレーボール部を全国トップレベルにまでした名監督でもある三輪校長は話す。
一方、中高一貫のVコースも今春は68名(定員60名)が入学し、快調な滑り出しとなった。
「中1生の授業を見学すると、本当に楽しいんです。先生と生徒が一体となって元気いっぱいに授業をしている。私ももう一度、教壇に立ちたいと思ったほどです」
校内予備校「進学アカデミー」を筆頭に
抜群の学習環境を提供する
これらの躍進を支えているのは、京都橘独自の学習環境にある。校内には、70席もの自学自習センターがあり、朝7時から放課後19時まで生徒は自由に使える。ブラウジングコーナーや、図書館にも個別学習ブースが設置されており、ここでも自習が可能。
2015年からは、進学アカデミーという校内予備校制度も導入している。全コースの高3生を対象としており、希望者は教員に加えて、外部の予備校の有名講師の講義を放課後に校内で受けられる制度だ。国公立・私立系、私立などのコース制になっており、生徒は希望進路によって選ぶことができる。フェローと呼ばれる進路専門指導者が細かくアドバイスをしてくれるのも大きい。費用は一般の予備校に比べて、かなりリーズナブルになっている。
「進学アカデミーの成果が出るのはこれからですが、これがきっかけで学校全体が受験に取り組んでいるという雰囲気になり、よい効果が出ていると思います」
中高一貫Vコースでは、中3終了時に20枚もの卒業研究に取り組んでいる。各自がテーマを設定し、調査研究を行った成果をプレゼンテーションとして発表する。 |
一方、校長自身も骨身を惜しまない。毎年、すべての授業を見学し、その感想を教員にリターンする大変な作業を続けている。
「98名の教員がいますので、すべて見るのは大変ですが、少しでも授業を良くしたいと思い、がんばっています。教員には個別にフィードバックしますが、工夫している点や良いところを評価し、改善点も常に伝えるようにしています」
また、生徒の声にも耳を傾けている。1学期の定期テストの後に、全生徒に授業アンケートをとっており、結果は2学期に発表する。
「自由記述のコメントは、私ひとりで読んでいます。というのも他の人に手伝ってもらうと、その先生も責任も担わないといけない。そういう負担を減らすために単独で作業していますが、なんといっても1万枚以上の数ですから、毎晩10時ぐらいまで残っていますよ」と、校長は笑って話してくれた。
2020年東京オリンピック候補も!
強豪揃いのクラブ活動
女子バレーボール部を筆頭に、全国レベルの強豪チームが揃う京都橘は、クラブ活動が盛んなことでも有名だ。卒業生には、東京オリンピックの候補と目されている井上琴絵選手(JTマーヴェラス所属)や、Vプレミアムリーグで決勝まで上り詰めた近江あかり選手(NECレッドロケッツ)、中大路絢野選手(久光製薬スプリングス)も活躍をしている。今春卒業のU-20代表 岩崎悠人選手をはじめ、J2京都サンガへ4名を輩出しているサッカー部や日本記録を狙う陸上競技部の400メートルリレーなど、期待されるクラブが多い。
また、文化系では、全国トップクラスの実力を持つ吹奏楽部。来年、アメリカのローズボールにちなんだ祭典「ローズパレード」に100名以上の部員が参加する予定だ。
まさに文武両道を実践する京都橘は、勉強もクラブも存分に打ち込める環境が整っている。今後の発展が楽しみな学校である。
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