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中学・高校受験:学びネット

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甲南高等学校・中学校

 
  サイエンス&グローバルで新時代を
リードする人材を育成
「世界に通用する紳士たれ」。およそ1世紀前に甲南学園を創立した平生釟三郎氏の言葉である。当時の知識偏重の画一的な教育に対し、個性を尊重し、徳・体・知のバランスがとれた「ひと創り」を教育目標に掲げた。甲南高等学校・中学校は創立者の思いを受け継ぎ、これまでに財界、学界、医学界など幅広い分野で数多くの人材を輩出している。2014年には、「フロントランナー」と「アドバンスト」の2つのコースを開設。サイエンスとグローバルをキーワードに国際社会の第一線で活躍できる人材の育成を目指す。

校 長: 山内 守明
住 所: 〒659-0096 兵庫県芦屋市山手町31-3
電 話: 0797-31-0551
交 通: 阪急「芦屋川」駅から徒歩約20分/JR「芦屋」駅から徒歩約25分
学生数: 中学校 530名
高等学校 563名 (2017.7.1現在)
ホームページ: http://www.konan.ed.jp

 

教科書の枠を超えて
科学へのモチベーションを高める

 「最初の授業で、『フロントランナーとは先頭を走る人のこと。このなかから世界で活躍する研究者をつくりたい』と言うと、生徒はすごく喜びます」

 にこにこ顔で話すのは山内守明校長。フロントランナー・コースの中学1年生に週1回理科を教えている。と言っても教科書の理科ではない。山内校長オリジナルの教材を使用して、宇宙の誕生から地球の歴史、最先端の科学まで、教科書の枠を超えて授業をする。

 フロントランナーは、科学的なものの見方や世界の動向を見極める力を養い、世界をリードする人材育成を目指している。

 そのため中学2・3年生で「サイエンス・ラボ」と「グローバル・ラボ」の2つの教育プログラムを実施する。どちらも2時間続き、アクティブラーニングの授業である。

 山内校長が1年生に教えているのは、「サイエンス・ラボ」の前段階。科学の幅広い分野を概観し、科学の面白さや奥深さに気づかせ、興味・関心を高める。

 「サイエンス・ラボ」では、ナチュラル・サイエンス、メディカル・サイエンス、コンピュータ・サイエンスの3つの領域について実験・実習し、レポートを作成。問題解決能力や科学的思考力を育む。

 例えばロケット打ち上げの実験では、あらかじめ火薬の搭載量や、重心の位置、風の影響などについて学んだ後、実際に打ち上げて高度と飛距離を測る。最初はロケットの格好良さに目が向いていた生徒たちも、内部の構造に関心を持ち、科学の楽しみにはまっていく。

 「グローバル・ラボ」は、環境や歴史をテーマに講師を招いてワークショップを実施したり、フィールドワークを行い、グローバル時代に求められる価値観と感性や教養を身に付ける。これらの取り組みを通して生徒たちは興味の幅を広げ将来の進路を探っていく。

世界の人々とコミュニケーションできる
力を養う留学プログラム

 アドバンスト・コースは従来の甲南の流れを汲むコースだが、さらに「一歩上へ」という意味を込めてコース名を名付けた。国際教養と広い視野、コミュニケーション力を備えた人材を育成する。

 中学3年次より、高校で海外留学を希望する生徒を対象とした「グローバル・ファウンデーション(国際教養プログラム)」が始まる。英語力はもちろんのこと、世界史や芸術、日本文化理解、ボランティアなど、「世界に通用する紳士」の基礎を養う。高校2年次からは、より高度な「グローバル・スタディ」へ進む。国際政治・経済などを英語で学び、プレゼン、ディスカッションを行う。同校がこれまで培ってきたグローバル教育をさらに進化させたプログラムとなっている。

 留学先は、イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ・カナダの5ヵ国。毎年40人ほどが3ヵ月から半年間留学する。語学のレベルがさらに高い生徒は、希望すれば1年間留学ができる。

 今年卒業した20ヵ国語の日常会話ができる生徒は、ロシアに10ヵ月間留学した。ウクライナ問題に関して、マスコミ報道とロシア人留学生から聞く話が大きく食い違うことに疑問を持ったからだ。将来は国際ジャーナリストを目指しているという。

自ら成長する力を身に付ける
「ひと創り」教育

 卒業後の進路は、約半数が甲南大学、半数が他大学へ進学する。今年も、東大、京大、阪大を始めとする国公立大学や早慶上智、関関同立などの難関私立大学に多くの合格者を出した。

 しかし山内校長は、「東大・京大に合格できたから良かったというのではなく、どの生徒も満足できる学校生活を送り、きちんとした青年になってほしい」と話す。

 生徒が思う存分に個性を発揮するのが中学1・2年で実施する自学自修プロジェクトだ。各自がテーマを見つけ、1年間研究に取り組むことで、自ら学ぶ楽しさを知り、自ら成長する力を身に付ける。

 「『小説を書いた』と、分厚い原稿用紙の束を持ってきた1年生がいました」と山内校長は頬を緩める。その生徒は、前半と後半を比べて、国語力が上がってきているのが自分でも分かったという。

 研究成果はレポートや作品に仕上げて発表し、その中から最優秀作が選ばれる。これまで、「世界のカレー研究」や「プロ野球の経済効果」「猿丸太夫について」など多様なジャンルの研究が選ばれた。

 高校2・3年生ではE-Studyがある。こちらは国際・環境・経済・法・社会問題などからテーマを設定。調査や校外でのフィールドワークに取り組んで考察を深め、研究成果についてプレゼンテーションも行う。「教育プログラムを通して人間力をつけていきたい」と山内校長。創立の理念である「ひと創り」が今もしっかり息づいている。

 中学3年ではキャリアリサーチとして、1年間をかけて興味ある職業を調べる。その間に2回、各分野の第一線で活躍するOBを10人以上招いて職業別のワークショップを開く。生徒はグループに分かれて先輩の話を聞き、キャリアリサーチで生まれた疑問点を解決。少しずつ未来の自分を思い描けるようになる。

 ワークショップにはこれまで大勢の卒業生が協力してくれている。ファミリーの感覚だ。繋がりの強さがうかがえる。

 山内校長は、昨年度校長に就任したときに、「校長室のドアが開いていたら、いつでも来ていい」と校長室開放を宣言。最初の3ヵ月間で延べ240人が訪れた。進路の相談やクラブ創部の要望、時事問題など話題は様々だ。中学1年生とは5月の中間テスト終了後に全員と面談した。

 「生徒と一緒に活動し、生徒の目標に寄り添っていくことが大事。卒業して、社会で頑張っていると報告に来てくれるまでが教育だと考えています」

 実際に多くの卒業生がことあるごとに近況を報告してくれる。なかには婚約者に学校を見せたいと連れて来ることも。山内校長は、これからも卒業生が誇りに思える学校であり続けたいと願っている。

 
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