2年目募集は
「すごい」がキーワード
花園中学校は昨年、SGZコースを開設すると同時に、従来の中高一貫コースを探求型学習のディスカバリーコースにバージョンアップし、進路目標を国内の難関大学に定めた。
今春の中学入試では、両コースを合わせて募集定員60名のところ342名の志願者が集まった。競争倍率はSGZコースが昨年の6.1倍から8.7倍へ、ディスカバリーコースも3.4倍から4.2倍に上がり、前年を上回る狭き門となった。
グローバル教育推進室統括責任者である中村広記一貫教育部長は、「募集活動に手応えを感じていました」と話す。
学校説明会などイベントに訪れる保護者の口から聞こえてくるのは、「すごいって聞いて来ました」という声。在校生やその保護者、塾からの口コミで、先進的な教育内容が浸透してきたと考えられる。
オープンキャンパスでは在校生が学校生活を生き生きと語り、新コースの魅力をアピール。体験授業では、小学校6年生がイマージョン理科やICTを活用した社会科の授業に参加した。さらにフィリピン在住の英語講師とのオンライン英会話も体験。始めは緊張していたものの、講師のジェスチャー混じりの英語が少しわかったようで、アンケートでも「楽しかった」と高評価を得た。
「この授業を受けたいからと、本校を強く希望してくれたお子さんが多かったです」と笑顔の中村部長。
実際に、オープンテストで同校を第1志望に挙げる子どもが多く、入試では専願志望者が昨年から倍増した。
今年の新入生は、SGZコースが定員を大きく超える32名。ディスカバリーコースが40名。競争倍率が高かったこともあり、成績も昨年を上回った。また今年は、SGZコースに女子が増え、男女比が昨年の2:1から1:2に逆転した。その要因を中村部長は、「海外留学の不安が、1年を経て本校の教育に対する信頼に変わったのではないか」と推測する。
圧倒的な量と質の英語教育
SGZコースとディスカバリーコースは中学2年までは同じカリキュラムで学ぶ。異なるのはSGZコースの早朝坐禅と総合学習の時間だ。SGZコースは禅を学び、ディスカバリーコースは探求プログラムを実施する。3年進級時にコース変更も可能だ。
1期生を入学時から見守ってきた中村部長は、「SGZコースの生徒は、当初から個性的で知的好奇心が強い。海外で医者になりたいなど目標を持っています。海外の大学に行く気満々です」と頬をゆるめる。
ディスカバリーコースは探求プログラムを重ねることで、最初はおとなしかった生徒も堂々とプレゼンできるようになってきた。2年生の8月に出かける広島体験学習は、ディスカバリーコースの生徒が行程などの企画を任されている。グループごとにアイデアをまとめてプレゼンし、SGZコースの生徒の投票により決定する。
両コースとも中学では、ほとんどの授業が電子黒板やiPadを活用してグループ学習を行うアクティブラーニング型である。
「意識しているのはグローバルスタンダードの教育。受け身の講義形式ではない授業なので、それが、学校が楽しいという満足度に繋がっていると思います」と中村部長。
生徒たちは自由な雰囲気のなかで考え、積極的に活動しながら学んでいる。
カリキュラムの最大の特徴は、何と言っても圧倒的な量と質の英語教育である。公立中学校の2倍近い授業時間を設定し、通常授業の他に、外国人講師が理科と数学を担当するイマージョン教育や週2回のオンライン英会話、さらに発音や文法など英語の精度を高めるeラーニングを実施し、英語力を高めている。
その結果、1期生は英検2級に1名、準2級に2名、3級に23名が合格した。英検2級合格の女子生徒はディスカバリーコース。中学に入学してから英語に興味を持ち始めたという。準2級の2名はどちらもSGZコースだ。
SGZコースは高校3年になると「NIC講座」が始まる。これは、海外の一流大学への進学で屈指の実績を誇るインターナショナルカレッジと提携する講座。週5日午前中の授業がすべて英語オンリーとなる。「NIC講座」では、ディスカッションやディベートなど、英語で考えて発信するトレーニングを重ね、海外の大学で通用するレベルまで英語力を高めていく。
また、早い段階から海外大学進学の具体的なイメージを持ってもらうために、両コースの生徒・保護者に向けたセミナーを開いている。 |
禅をベースとした本物志向の
人間育成プログラム
「英語はツール。発信する内容を身に付けてなければなりません。海外大学進学も通過点。真のグローバル人材になってもらうために、逆算して教育プログラムをつくっています」と中村部長。
それが、禅をベースとした人間育成プログラムである。SGZコースでは、始業前の「早朝坐禅」や毎週の「禅」講座、さらに臨済宗の修行を体験できる「摂心会」など、禅を学ぶ機会を多く設けている。「禅」講座では、毎学期ごとに禅や仏教に関わるテーマを決め、グループや個人で調べて発表する。3学期のテーマは「坐禅を伝える」。入学してから何度も坐禅を組んできた生徒たちが、改めて坐禅について考える良い機会となった。各自がレポートにまとめたものを英訳し、新学期にプレゼンする。
日本の伝統や文化を発信できるように、日本文化もふんだんに学ぶ。しかも超一流の本物志向である。6年間継続する茶道教室は、裏千家家元の千宗室氏のアドバイスのもとプログラムされている。
学校行事も本物志向だ。10月の花園祭でクラスごとに発表した創作演劇は、事前にプロの演出家からレクチャーを受けた。さらに京都大学の公認サークル劇団ケッペキが演技指導に入り、生徒たちは見事なパフォーマンスを披露した。
また、社会に貢献する若きリーダーを招いて開く「グローバル・シェイパーズ・フォーラム」や、各界の第一線で活躍するプロフェッショナルによる「グローバル・キャリア・フォーラム」は、世界への目をさらに広げる。
海外大学進学に必要な精神的支柱とスキル・能力を育む教育プログラムのもと、生徒たちは一歩一歩グローバル人材への道を歩んでいる。
食事をいただく。
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