学力指導スローガン「授業改革」で
確かな学力を身につける
平成26年に創立100周年を迎えた同校は、男女共学化(中学/平成13年、高等学校/平成16年)によって大阪有数の進学校として発展してきた。今春、国公立大学合格者は現浪併せて218名、卒業生277名に対する割合は78.7%という合格率をマークし、校史最高の実績を上げた。現役生の合格者は159名、卒業生に占める割合は57.4%で、これまでと同様に現役中心の結果である。現役合格率が1/3を超える高校は国公私立高校の中でも非常に少ないと言われている。
この実績を支えるのは、それまでの「理数コース」の教育展開のうえに、名実ともに、東大・京大・国公立大学医学部医学科の進学を目指す「スーパー理数コース」の新設(平成18年度より)によるところが大きい。「スーパー理数コース」と「理数コース」2コースについては、中学3年あるいは高校1年に進学する段階で、学力達成状況によりコースの見直しが行われる。高校入学者は高校1年で内進生の「スーパー理数コース」に匹敵する学力向上に努め、「文理コース」をつくり、高校2年で文系・理系のクラス分けされた内進生と合流し授業を受ける。
早坂元実校長は、「授業改革」というスローガンを掲げ、ここ数年学力指導を強化していると話す。予習・復習といった家庭学習を徹底することで授業の質を高め、必要な小テストも授業中に行い確認する。このサイクルを回し学力を積み上げていくという。
校訓の「研鑚して倦(う)まず」は「努力を怠たらず、自己を磨き続ける」という意味で、「授業改革」はまさに校訓の実践である。
「校訓に相応しい学校にしていきたい。少しは近づいてきているように思います」と話す早坂校長の言葉に実感がこもる。
新校舎はモダンな外観の「100年建築」
卓越した教育環境が実現
100周年記念事業の一環として建てられた新校舎は、明るいベージュを基調としたモダンな外観で、高い機能性と快適な生活空間を実現。近い将来には東南海・南海地震も想定されるなど、震災への心配の声が広がるなか、まず、第一に考えられたのが、生徒の学校生活の安全の確保。地下1階、地上8階の一棟高層建築の新校舎は極めて耐震性の高い「免震システム」が採用され、最高位耐震グレードを保持している。災害時には地域防災の最重要拠点としての役割を果たすことになる。
また、歴史を次の100年に繋ぐためにも、耐用年数100年のコンクリートが採用された「100年建築」であり、太陽光発電パネルを設置して自然エネルギーを積極的に活用した「エコスクール」でもある。雨水利用や屋上庭園で(約320u)の緑化などでCO2削減にも努めている。屋上庭園は自然と触れ合うリラックス空間として、生徒の語らいの場になっている。
豊かな学びを育む舞台としての教育環境も素晴らしい。地下には25m・6レーンの温水プール、1階にはおよそ6教室分の広々とした図書館、5階には約230席を確保した食堂と厨房、8階には授業やクラブ活動で活用する第2体育館が完備されている。30畳の和室もあり、茶道・華道・着付けの講習も可能だ。この他、理科の3教室(生物・化学・物理)、コンピュータ室、視聴覚室など、最新の設備が導入された教室が並ぶ。
新校舎が完成するまでの2年間は仮校舎で授業を行い、新校舎から卒業した卒業生は仮設も1、2年経験した。
「生徒たちに負担をかけましたが、よく頑張って素晴らしい進学実績を残してくれました。在校生にとっても『今度は自分たちの番だ』と励みになったと思います」と早坂校長は微笑む。
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人間形成しながら学力を身につける
その課題にしっかり向き合う
同校の中3の卒業行事はユニークだ。中学開校時から「夜間歩行」が伝統行事として行われている。
男子校時代は、松阪から伊勢へ50キロ歩き、朝熊山からご来光を拝むというコースだった。そこへ、共学1期生の女生徒から「私たちも夜間歩行がしたい」と申し出があり、男女共にチャレンジできる「しまなみ海道」が夜間歩行の舞台になった。
「しまなみ海道夜間歩行」は地元の協力、保護者の支えなしにはできない。例年90名ほどの保護者が参加し、炊き出しをして子どもたちを応援する。
体力的、精神的にとても辛い経験をするが、それこそがこの卒業行事の目的だ。「自分の頑張りを体感し、しんどいことを乗り越える経験をすると、頑張る力が心にしっかり育つ」と早坂校長は説く。
クラブ活動も活発で、80%を超える中学生が入部し、高校生も70%を超える。週3回と定め、そのための学習環境も整えられている。生徒たちの仲間意識が強くなり、教師との関係も密になる。
その他、弁論大会やクラス発表会を通じて、生徒がそれぞれの問題意識をもって社会問題を考え、調べ、結論を出して発表する活動も長年行われている。
希望大学へのパスポートは勉強に励むだけでなく、人間形成が伴わなければ手にできない。早坂校長は「問題意識を持って挑戦できる若者の育成が求められている。そんな社会の要請に応える可能性を、6年一貫教育に感じています。責務と言えるでしょう」と結んだ。
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