ハイレベルな国際教育を全員に
中学校のコース再編成
副担任をネィティブの教員が務め、英語授業以外にも常に英語に触れる環境づくりや、全員がホームステイを含む海外研修旅行を体験、英検講座など、国際コースでは全国屈指の英語教育を実践してきた京都学園中学校・高等学校。ノウハウを共有してきた高校の国際コースが2015年にスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定を受けたことや、中学3年生から英検準1級合格者を輩出したことで、中学の国際コースでの教育を全員に受講させ、世界のどの舞台に立っても堂々と自分の意志で立ち、行動できる人物を育成したいとの思いが強くなった。そして、この考えを実践すべくコースを再編成、既存のすべてのコースを集約したGN(Global Navigator)コースを来年度より導入することが決定した。
佐藤樹中学部部長は、「既存の国際コースや特進2コースの人気も高かったため、多くの方から『国際コースや特進コースは無くなるのか』というお問い合わせをいただきましたが、そうではありません。GNコースは2クラス編成で、どちらのクラスでも、今年度まで既存の3コースで実践されている様々な学習を学ぶことができる、一歩進んだコースとなっています」と説明する。
GNコースの2クラスとは、GN一貫クラスとGN探究クラスのこと。中学入学時点で難関国公立や海外の大学への進学を目指すためがんばりたい、と考えている生徒には、独自の中高一貫カリキュラムで先取り学習を行い、高2までで高校の課題を修了、大学受験のための準備期間を多く確保し、しっかりとした実力をつけていく6年一貫クラスのGN一貫クラス(高校からは特進ADVANCEDコースの別クラスとして中高一貫クラスを構成)を選択するように薦める。
また、将来どのような仕事で活躍したいか、そのためにはどの大学に入ってどんな学習をすれば良いかを模索中の生徒には、高校進学時に高校の4コース(国際・特進ADVANCED・特進BASIC・進学)を選択できるGN探究クラスへの入学を薦めていく。
「どちらのクラスでも2週間のカナダ研修旅行を含んでおり、10日間のホームスティで異文化を体験することができます。また、高校でも全コースで海外留学・研修旅行を実施。カナダ・イギリス・アメリカで中学の時の体験を生かして、より深く国際理解教育を実践することができるのです」と佐藤部長。
このGNコースを発表してからの反響は大きく、春に数回行われた中学入試説明会では、昨年同時期の説明会の倍の参加者が訪れており、来年の受験期にどのような結果が出るのか、注目されている。
豊富な英語教育や特色ある指導で
世界のどこでも活躍できる力を磨く
早朝からの個別指導や英語の発声練習、ネィテイブの副担任との交流、スピーチコンテストへの出場など、英語教科に関する現国際コースの授業は通常から多く、来年度からはGNコースの各クラスで全員が受講することになる。また、一年に2回程度イングリッシュオンリーデイを設定し、英語しか話してはいけない日(緊急時を除く)として、生徒たちに英会話で互いの意思を通じさせるよう指導している。
「島国である日本で育った日本人が持つ英語教育に対するハードルの一つが、外国人に対する恐れの感情です。京都学園では、入学早期からイマージョン教育を行い、世界中から集まったネィティブの教員と語り合うことで、このハードルを取り除きます。その後、TOEFLに対応できるよう、e-ラーニングを含めた指導を行う予定です」 |
ネィテイブ教員は日本語での会話や、生徒の日本語を理解するそぶりを見せないようにして、生徒たち自身の努力を引き出すようにしている。もちろん教員も副担任との意思の疎通のために英会話能力が求められるため、英語能力の向上が必須となる。教員が努力し、チャレンジする姿勢を見せることで、生徒たちもさらにやる気を出していく良い関係を保っている。
また、他にも『超数学』や『超英語』などの超上位層育成プログラム、『フォローアップ講座』、自学自習を中心として私語を許さない(質問は教室外で行う)徹底した集中力と学習習慣を養う『学園寺子屋』、フィールドワークをベースに歴史や自然に触れることで地球規模でものごとを考える力を育てる『地球学』といった京都学園ならではの特色ある学びも健在。特に学園寺子屋は、通常授業や補習後の時間を充てるため、開催を週3回として、他の曜日はクラブ活動などで汗を流す時間を確保している。受講は希望者の登録制となっているが、塾や予備校に頼らず、学校で課題解決や応用力を付けることができるため、現在ほぼ全員が参加。開講日は指定の教室に生徒が入りきれないほどの人気ぶりだ。
「寺子屋のない日は、あえてクラブに行きなさいと指導しています。勉強とクラブの時間の区別をつけて、バランスのとれた学生生活を送って欲しいというのが、学園の考えです」
京都学園中学校・高等学校が見ているのは、今の生徒たちが大学へ進学、卒業し、社会で働いて活躍をはじめるだろう13年後の2030年。この時期のグローバル社会をナビゲーションし、そこで力を発揮できるような国際人として成長、社会から必要とされ、愛される存在になってほしい。それが京都学園中学校・高等学校の願いである。
|