2015年度は「Rainbow Program」元年
なりたい自分を見つめ
実現する力を養う
愛徳学園は4年前から、生徒の希望ある未来に向けてさらなる歩みを進めるため、プロジェクトチームを立ち上げ検討を重ねてきた。その中で「自ら考え、人に奉仕し、充実した人生を歩む女性」に育てたいという「教育ヴィジョン」を策定。それを実現していくための取り組みとして「5BOX」という教学マネジメントプログラム、将来必要な「7つの力」を育む「Rainbow Program」、発達段階に応じてきめ細かくかかわるための「3Stage制」を掲げ、創立60周年を迎えた2014年度、試行してきた。
2015年度は、「虹を架ける〜『「Rainbow Program」』の実践〜」を学校目標に、大いなる飛翔の年として今までのすべての教育活動を、「Rainbow Program」の内に集約し、本格実施して新たな一歩を踏み出している。
7つの力とは、基礎学力と人間力を育むために必要な力のことを言い、具体的には体力・忍耐力、思考力、コミュニケーション力、英語力、問題発見・解決力、異文化理解力、プレゼンテーション力のことである。
「Rainbow Program」を統括する、教育企画推進部長・石井美穂教諭は、プログラム誕生からの道のりを振り返り、
「色々な計画を実践してきました。教員が一丸となって準備をしてきましたが、とにかく行動しなくては結果が見えないので、体験したこと、実感したことを糧にしながら、歩を止めず全力で進んできました」と話す。
発達段階に応じたステージ目標を立て
ポートフォリオを完成
それぞれの教育目標が設定された3ステージに沿って、プログラムの成果を辿ってみよう。
・1st Stage(基礎確立期/ステージ目標:身近なところからの生活習慣の確立と学習習慣の定着を図る/中学1年・2年)
将来の進路を考えるため、まず自分について知ることを学ぶ。例えば、六甲でのイングリッシュキャンプを体験した中学2年生は、「人見知りするタイプだったが、キャンプ以降は自分から話しかけることで友達が一気に増えた」と話した。他に、ものづくり体験や幼稚園実習などの校外学習を通して経験を積む。
・2nd Stage(応用充実期/ステージ目標:視野を広げ、体験を通して考える/中学3年・高校1年)
公立校の場合、中学3年は多くの時間を受験準備に費やすことになるが、本校は内部進学のメリットを生かし、「Rainbow Program」を中断せずに積み上げることが可能だ。思考力や問題解決能力を駆使し、正解のない問題に挑戦することもある。例えば、中3では数学Tで学んだ「データの分析」の知識を使って、スポーツのプロ選手との契約を想定してみる。データを分析して自分ならどの選手と契約するか、グループで話し合ってその理由も発表する。お互いの考え方の多様性に気づくことも成果の1つだ。
このステージでは、看護・英語・芸術・国際など様々な分野の大学の先生に直接学ぶ「学部学科説明会」が設けられている。また、「卒業生との集い」では、卒業生から職業の話を聴くことができ、自分がやってみたいことを自主的に探求できる。高校2年生の「行きたいと思える大学が見つかり、勉強に対するモチベーションもアップした」という言葉から、自分のために学んでいるという意識を持つようになったことが窺える。
・3rd Stage(発展完成期/ステージ目標:学びを進路につなげ、自己実現を目指す/高校2年・3年)
4年間学んできたことで、自分の強み・弱みを見つめ、それらを踏まえてどう前進するのか、内面を深めていくステージになる。「未来予想図」を描き、なりたい自分に繋げていく。「大学受験は、法律関係の仕事に就きたいという夢を実現するための第一歩」と捉える高校3年生の言葉が印象的だ。卒業生の中には、“国境なき医師団”の看護師を目指し、海外青年協力隊に入る卒業生を輩出した。
「Rainbow Program」の大きな特徴は、どのステージのプログラムに於いても、「7つの力」のどの力を意識して養うのかが予め示され、事前学習を行い、プログラムが終われば自己評価をするという“過程を大切にする”こと。プレゼンテ―ションを行う場合もある。そして生徒が各自の「レインボーファイル」に整理し、6ヵ年の足跡を辿る貴重なポートフォリオを完成させる。 |
歩んだ道を検証し
2016年度計画を再構築
「グローバル」な人材育成も目指す
「Rainbow Program」の大きな特徴は、どのステージのプログラムに於いても、「7つの力」のどの力を意識して養うのかが予め示され、事前学習を行い、プログラムが終われば自己評価をするという“過程を大切にする”こと。プレゼンテ−ションを行う場合もある。そして生徒が各自の「レインボーファイル」に整理し、6ヵ年の足跡を辿る貴重なポートフォリオを完成させる。
歩んだ道を検証し
2016年度計画を再構築
「グローバル」な人材育成も目指す
明石海峡を臨む高台に位置するキャンパス、全教室が南向きのオーシャンビューという恵まれた学習環境を誇る愛徳学園。“未来につながる虹”が見えてきそうな場所だ。伸びやかで温かな空気に満ちたキャンパスに、昨年、「AL(アクティブラーニング)教室」と校内無線LANが整備された。「AL教室」は壁2面がホワイトボードで、プロジェクターを2台装備した上、いつでもタブレット端末が使える先進的な施設である。協働学習やプレゼンテーションを取り入れたアクティブラーニングにも対応しており、授業の内容に広がりをもたせている。
また、校内無線LANにより教室でも、タブレット端末を活用した授業を行えるようになった。例えば学習支援ソフト「ロイロノート」を使用して、生徒がタブレット端末から解答を担当教員に送ると、その教員が解答を集約して授業で共有し、生徒とのやり取りの中でさらなる解決方法を考察するなど学習を深めている。また、プレゼンテーションの様子をタブレット端末で撮影し、自分で客観的に見て改善することができる。体育の授業でもお互いのフォームや動作をチェックすることで、動きの改善に役立てるなど活発に取り組んでいる。
「大きな構想を形にする苦労はありましたが、生徒の生き生きした姿を見て、『これで正解だった』と思えたことが大きな成果でした。プログラムを検証し再構築する時期ですが、今後は国際社会で活躍できる人材づくりも視野に入れ、『グローバル』という観点も重視したい」と石井部長は気持ちを新たに語った。
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