進路に応じて選べる
2つのコース
従来の親和の教育を継承する「総合進学コース」と、新たに探究型学習を取り入れた「Sコース」の2コース。Sコースは、豊富な学習時間を設定し、難関国公立大をめざす。
Sコース設置から1年。向田茂校長は1期生の成長ぶりを、「何事にも意欲的に取り組んでいます」と目を細める。
「探究」の授業は、グループワークや校外学習を通じて生徒の興味・関心を広げる。昨年度は、7月に兵庫県立人と自然の博物館へ出向き、標本を観察し、各自でまとめたものをパワーポイントを使って発表。博物館の学芸員より指導を受けた。今年2月には甲南大学の先端生命工学研究所で、DNAからタンパク質ができる仕組みを実験を通して学んだ。この縁で、中2生はダンゴムシの研究を手伝うことに。学校周辺でダンゴムシを採集して分布状況を調べた。その後も、自主的にテーマを設定して生態の観察を続けている。「探究」の集大成は、高2生の海外研修旅行。シンガポール等で現地の学生と交流し、英語で研究発表する予定だ。
また海外研修は、中3生で国内英語キャンプを経験したうえで、3月にニュージーランドで3週間ホームステイを実施する。
一方、総合進学コースの生徒もお互い刺激しあいながら、Sコースと切磋琢磨している。「勉強だけでなく、クラブ活動にも力を入れて文武両道をめざしたい」「中高6年間のキャリア教育でじっくり自分の進路を見極めたい」と総合進学コースを選択している生徒も多い。
2つのコースは、中1→中2、中2→中3の進級時に変更が可能だ。高校進学後は、高2生よりコースごとに文系・理系に分かれる。また、昨年度より高校募集を再開。外部生は特進コースとして1年をかけて進度を調整し、高2より内部進学生と合流する。
進化を支える伝統の底力
歴史ある同校は、これまでに約2万5千人の卒業生を送り出してきた。卒業生の母校への愛着と誇りは、2世代・3世代にわたって学ぶ生徒の多さからもうかがえる。教員にも卒業生が多い。ご自身も卒業生の井坂かおる教頭は、「のびのびと自由に過ごしながら、勉強もしっかり教えてもらいました」と中高時代を振り返る。
知・徳・体の調和のとれた人間形成を第一と考える同校では、勉学以外の様々な活動も教育の大事な柱に据えている。
「礼法講座」は茶道を通して、その精神や礼儀作法を学ぶ。同校に隣接する同窓会館の和室で、卒業生から教わっており、実社会でも貴重な経験へとつながる。当初は中1・2生のみだったが、生徒の強い要望で中3生まで延長された。
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クラブ活動にも熱心だ。加入率は中高ともに9割近い。全国レベルの書道部が、文化祭で巨大な筆で10メートルの紙に揮毫する「書道パフォーマンス」は、見る者を圧倒する。
多彩な学校行事は、そこここに伝統を感じさせる。親友会(生徒会)が主催する文化祭のエンディングは、親友会役員を中心に全校生徒が輪になり踊るマイムマイム。中学入学後の歓迎遠足で高3生と一緒に踊り、今度、上級生になったときには、また後輩へと受け継いでいく。
時代とともに進化する親和の女子教育。その根底を支えているのは、伝統の見えない力かもしれない。
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