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中学・高校受験:学びネット

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同志社中学校

 
  リベラルアーツの伝統を基盤に
未来を創造するイノベーターを育成
創立者・新島襄の 「自由・自治・自立」の精神を受け継ぐ同志社中学校は、今年創立140周年を迎えた。伝統と進取の気風に富む同校は、すべての生徒たちの知的好奇心・探求心を育むことを目的として、校舎に関西初の「教科センター方式」を採用。これと融合する形で先進のICT(Information and Communication Technology)教育やアクティブラーニングを展開。グローバル化が加速し大きく変化する社会を見据え、伝統のリベラルアーツ教育の上に、新時代を切り開く学びを創出している。

代 表: 竹山 幸男
住 所: 〒606-8558 京都市左京区宝ヶ池
電 話: 075-781-7253
交 通: 京都市営地下鉄「国際会館」駅前/徒歩すぐ(駅出口に校門が隣接)/叡山電鉄鞍馬線「八幡前」駅より徒歩5分
学生数: 880名(男女共学)
(2015.9.1現在)
ホームページ: http://www.js.doshisha.ac.jp/jhs/

 

コラボレーション授業で
デザイン思考を学ぶ

 京都市営地下鉄「国際会館」駅の出口の階段を上がると、もう目の前がキャンパスだ。京都駅から地下鉄でわずか20分。駅出口直結の好アクセス。緑の芝生のグラウンドが眩しい。始業時間が10分繰り下げの8時40分となり、さらに通いやすくなった。

 約10万m2の広大な敷地に、赤レンガ造りのアカデミックな校舎がゆったりと建ち並ぶキャンパス。中心に位置するグレイス・チャペルでは毎朝礼拝が行われ、生徒たちは静かに自己と向き合う。内的成長を促し、人生の指針を得る大切な時間だ。

 2014年度の新入生から1人1台のiPadを導入。生徒は思考ツールとしてのタブレット端末を活用しながら学びの世界を広げている。

 キャンパスは、欧米の学校では一般的である、生徒を主体的な学びに導く「教科センター方式」を採用し、すべての教科に専門教室を設けている。また教科ごとのゾーンには、「メディアスペース」を配置。教科に関連する資料や生徒の作品を多数展示している。

 例えば、夏休み前の社会科のメディアスペースには、「コニカミノルタ ソーシャルデザインアワード2015」において特別賞を受賞した作品がいくつか並んでいた。これは3年生の社会科と美術科のコラボレーション授業で制作したもの。6月下旬まで新宿のコニカミノルタプラザで展示されていた。‘Electric Power’と題した作品は、ピラミッド型の立体にさまざまな電化製品の写真をコラージュしている。正面から見ると始めは何を意味しているか分からない。しかし角度を変えて見ていくと、中に3つのピラミッドが重なり、それぞれ「炎」や「水」、「風」などをイメージした色とデザインだと分かる。これは日本の電力供給の割合を表したもので、「炎」が最も大きく「風」が一番小さい。この作品には、火力や原子力を減らし、水力や風力といった自然エネルギーの割合を増やすべきというメッセージも込められている。教科の枠を超えた授業で、生徒たちは社会的な課題を設定し、問題解決の道を探りながらアートなど芸術的な表現手法も用いて、創造的な提案を行うという新しい学びを経験した。

 竹山幸男副校長は、「これは、分野を融合して現状をより良いものに変えていくデザイン思考と呼ばれるものです。観察から洞察を得て、仮説を作り、プロトタイプを作って、それを検証し、試行錯誤を繰り返し、改善を重ねながらモノ(製品/サービス)を創りだす創造的なプロセスで、大学教育やビジネス界でも新しいイノベーションを起こす思考方法として注目されています。」とコラボ授業の意図を説明する。

知的好奇心と探求心を
刺激する原体験が
アカデミック・パッションになる

 グローバル化の進展や人工知能(AI)の発達により社会の枠組みが大きく変化し、予測不可能な時代を迎えている。「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもの65%は、大学卒業時に今は存在しない職業に就く」という研究結果もある。「これからの社会に真に必要な学力」とは何かという問いから、教員も新たな取り組みに挑戦しているという。

 例えば、技術科の「STEM(ステム)教育」。これは科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字をとったものだ。技術科では数学・理科・社会・美術で学んだことを土台に、モノを作り、協働して問題を解決していく道筋を探る。単にモノを作るのではなく、どうしたら世の中に貢献できるか、観察し、洞察し、より深いレベルで人や社会に共感することでアイデアが生まれる。これはドイツが進めるイノベーションプロジェクト「インダストリー4.0」にも通じるものがある。「観察」「洞察」「共感」は、デザイン思考の基本能力である。この教育実践は、現在、毎日小学生新聞に連載中。また、数年前より韓国・台湾との交換研修を実施している。教員・生徒が互いに訪問し合い、一緒にモノづくりに取り組む。昨年は、インドでも訪問授業を行った。文化も母語も異なる人たちと英語を用いて共に働く。まさにグローバル社会で求められる力だ。

 国際交流プログラムも多彩だ。カナダやニュージーランドの約2ヵ月間ターム留学を始めとして、ハーバードとMITで授業を受けて新島襄の母校を訪ねるボストン・アーモスト研修、国内で英語力を強化するイングリッシュキャンプなど、10以上のプログラムを用意。英語コミュニケーション能力を高めている。

 ここ数年、力を入れているのが、本物の研究・仕事に触れる「同志社中学校 学びプロジェクト」だ。プログラミング教育、大学研究室や企業への訪問、フィールドワークなどバラエティに富んだ内容で、その数は年間50を超える。京大iPS細胞研究所ではDNAを抽出する実験に取り組み、東大スーパーカミオカンデ見学ツアーではニュートリノとその検出の仕組みを学び、東大理学部では宇宙研究の基礎を特別講義してもらった。これら、教室での学びを超えた体験は、生徒の知的好奇心と探求心を刺激し、自分の可能性に気づく機会ともなる。卒業生には、京大・東大など難関国公立や医歯薬学部に進学する生徒も一定数いる。

ソーシャルスキル育成の原点は
中高時代の演劇(総合芸術)を
通じた学び

 伝統のリベラルアーツ教育では、分野を超えた幅広い学びを通じて、人間としてのあり方や生き方への深い洞察力や問題を発見・解決する力を養成する。10〜20年後の社会で人間に求められるのは、コンピュータには不可能な領域の能力だ。想像力、感性、共感力。そしてリベラルアーツで培われた総合的な人間力である。これらを備えた人材が、社会的に意義ある新しいモノや価値を生み出すイノベーターとなり得る。

 竹山副校長は、「新しい時代をリードしていくには、レジリエンス(逆境力)とソーシャルスキルが必要」と話す。イノベーションは、異分野・異文化の多様な人たちとの問題意識やアイデアの論戦から生まれるからだ。

 キリスト教主義を徳育の基盤とする同校で、生徒たちは礼拝での講話や学校行事を通じて、互いの違いを認めた上で他者を思いやり、協同する共生力を身に付けていく。その最たるものが学園祭の演劇フェスティバルだ。興味や関心の同じ生徒が集まるクラブ活動とは異なり、中2から高3まで全クラスが1つの舞台を創り上げるために、意見の違いを超えて協力しなければならない。まさに今話題のプロジェクト型学習そのものだ。仲間との話し合い、挫折、解決へ努力を通じての克己心やリーダーシップ、組織で活動する力が自然と育まれる。卒業生は異口同音にこの経験がさまざまな、ソーシャルスキルの原点になったという。

 また生徒会やクラブ活動は、中高で分かれて活動しているため、中学3年生で一度、最上級生になり、様々な場面でリーダーとしての役割を果たさなければならない。一人ひとりのリーダーシップの育成が一層求められる時代に、より早い段階で主体性が育つ環境がここにはある。自らの資質を高めるという点で、他校に比べて人間的成長が早いと言えるのではないか。

 竹山副校長は、「本校は、ノーベル物理学賞受賞の江崎玲於奈氏から芥川賞作家の藤野可織氏まで幅広い人材を輩出しています。文系・理系に偏らない幅広い学びと経験が、生徒一人ひとりの未来の可能性を広げます」と話す。

 生徒の約9割が推薦で同志社大学に内部進学するが、他大学への進学も可能だ。2020年の大学入試改革の行方がまだ定まらない中、将来幅広い選択肢が可能であることが学校選びの重要なポイントになるだろう。

 
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