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中学・高校受験:学びネット

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大きく変貌する
大阪偕星学園高等学校

 
  進化をつづける学校の存在意義
改革の実行と具現化を探る
『生徒はすべて輝く星である』という意味が込められた「大阪偕星学園高等学校」に校名変更されて早3年目。昭和初期から続く歴史ある高校で、難しいと言われる学校改革は驚くほどの速度で進んでいる。設備のインフラは現在も進められているが、教職員の意識改革も途絶えることなく続ける必要があるというのが就任5年目の梶本秀二校長の考えだ。私塾である成学社の太田明弘代表が理事長を務めることで一気に注目を浴びた学校は、今、進化し続ける高校として、新たなステージで視線を集めている。

校 長: 梶本 秀二
住 所: 〒544-0021 大阪市生野区勝山南2-6-38
電 話: 06-6716-0003
交 通: JR環状線外回り「桃谷駅」より徒歩10分、「寺田町駅」より徒歩10分
学生数: 1,047名 (2015.5.1現在)
ホームページ: http://www.osaka-kaisei.ac.jp/

 

生徒に我慢させない
改革のフットワークは軽く・早く

 平成22年、成学社の太田氏が理事長に就任。翌年には校長に梶本氏が就任し、校名変更を始めとして大きく変貌を遂げた大阪偕星学園高等学校。梶本校長が学校改革の手始めに行ったのが、インフラの整備だった。生徒用の女子・男子トイレすべてにウォシュレットを設置。その後、教室のフローリング、食堂や体育館などの整備、中庭の人工芝…と、次々と改善していった。

 「在校生たちは毎年卒業し、入れ替わっていくでしょう。学生生活で一日の大半を過ごす学校の設備を整えないと、ガマンをしたまま卒業させることになる生徒が増えてしまう。それは避けたかったのです」

 その梶本校長の考えは、教員の意識改革にも広げられた。日々、教員たちと話し合いを続け、さまざまな希望を持つ生徒たちの価値観を受け入れ、育てる学校にするために精神的なインフラを整えていった。5年目になる現在では、生徒の期待に応えることのできる教員として、胸を張れる人材を揃えるに至っている。

 学校改革で新設された3つのコースは特進、総合選択、スポーツに分けられている。特進コースは国公立大学を目指す選抜特進クラスと難関私立大学を目指す特進クラスとに細分化、習熟度により、随時クラスの入替えを行って生徒のモチベーションを上げている。

 また、校塾連携システムを導入し、生徒に合わせて対応できるフリーステップのブースを設置。現在、選抜特進クラスの生徒が週2回大阪偕星だけの個別指導方法で学んでいる。総合選択コースも選抜クラスは特進コースと同じカリキュラムで対応。2年からは大学を目指す進学専科だけでなく、成績次第では特進コースへ変更することができ、高校入学後に難関大学に進路を定めた生徒でも、夢を叶えることができるようにと配慮されている。

 「しかし、生徒を希望進路へ進ませるには、まずは教員の実力を上げていく必要があります。そのため研修には力を注いでおり、センター試験レベルの教員向けテストも随時行っております」

 太田理事長は校内のインフラ整備や人事などを、梶本校長に任せている。これは私立学校では非常に珍しく、梶本校長の経歴の中でもはじめての経験だと語る。それだけ理事長からの信頼が厚いといえるだろう。物理的・精神的なインフラ整備は今後も進めていくのだが、「今までに整備したインフラを維持・管理していくこと、これが難しい」と、梶本校長は言う。だが、自分の目的を見出せないまま入学してきた生徒たちに進路を決めさせ、進路実現に対する前向きな意識を植え付けていくためには、このインフラ整備の継続は何よりも大切だ。

 校名変更と改革がはじまって5年目の現在、学校の体制は以前と180度変化している。このとどまることのない改革が、今後どのように大阪偕星を発展させていくのか。その先を見据えながら、梶本校長自身が楽しげに未来を見つめている。

教職員の意識の壁を撤廃
所属を超えて
相互に助け合う

 大手学習塾の代表でもある理事長と、スピーディな改革を進める校長。この新しい体制が始まったとき、以前から在籍していた教職員の動揺は小さなものでは決して無かった。

 「理事長や校長が変わり、正直変化することに不安があった」(天野将寛教務部長)「以前とはスピード感が違う」(村尾成人総合選択コース長)という声もあるが、在籍教職員はこの変化に柔軟に対応していった。

 また、5年以内に採用された教員たちも、大阪偕星の改革内容には驚きや喜びを隠せない。特進コース長であり、進路指導部副部長も兼任する太田一郎氏は、受験指導のノウハウについて、「理事長や校長の『自分たちの学校だから自分たちで考えなさい』という指示に、スタッフ全員で相談しながら対応している」と語る。

 「中学時代にはあまり勉強していなかった生徒でも、入学後のレベルよりは1〜2ランク上の大学へ進学できる実力をつけさせます」という太田氏の力強い言葉に、特進コース担当教員の角田鉄也氏は「まずは生徒本人が頑張ること」と生徒の意識改革に力を注いでいる。

 「学習のモデルプランや小テストなどで、生徒が学習でつまづいたり中だるみせずに、良い変化を遂げるよう導いてやりたい。そういう希望を実践することができる学校だと思います」(益枝美史特進コース担当教員)「校長や教頭が職員室によく顔を見せ、教員との距離が近いのが意外でした」(松田拓也進路指導部教員)など、改革後に就任した他の教員たちも、大阪偕星の改革に共感し、より良い指導のために力を尽くしている。

 「以前は『私は私のやり方がある』と考える教職員もいたのですが、改革5年目を迎えた今では教職員相互の壁が無くなり、互いにフォローし合って良い方向に進む努力をしていると感じます。様々な業務においても、所属部署問わずお互いに手伝い合う姿は、他校では見ることのできない光景だと新採用の教職員は驚いているようです」と語った。(宮口光博入試広報室室長)

 一方、入試内容に大きな変化が起きたスポーツコースでは、卒業後、国公立大や難関私立大の体育系学部への進学を視野に入れている。そのため、クラブ活動中心に指導を行うことが多いが、クラブ同士のつながりを重視して、精神的にも切磋琢磨できる環境づくりも重視している。

 「将来は大阪偕星出身の指導者が多くのスポーツ分野で活躍してくれると嬉しいですね」

 保健体育科の主任でもある木村大介スポーツコース長は、コースの10名の教員とともに、生徒がスポーツにも勉学にも力を注げるように指導を続けている。

ホスピタリティを重視
子どもを大切に思う気持ちを表す

 このように内外からの刺激を受けながら進化を続けている大阪偕星だが、一番の刺激はやはり梶本校長の存在だと、浅岡雅史教頭は考えている。現場を常に見ながら情報のアンテナを立てる梶本校長によって行われた改革で、教員の多くが自分たちがいかにぬるま湯につかっていたかを思い知ったそうだ。

 「過去には受験生が3,000人を超えたこともありました。そのため、教員の心に『放っておいても生徒は集まる』という危機感の無さが漂っていたように感じます」

 梶本校長の就任後、改革に賛成できない教員は辞めていき、代わりに多くの前向きな教員が採用された。生徒や保護者へのホスピタリティを重視し、段取りを立ててものごとを進めることや報告・連絡・相談を徹底。学校が子どもたちを大切に思っている気持ちが保護者にきちんと伝わるように、対応のスピードも速度を上げることに成功している。

 入学後は精神面でも学習面でもしっかりとした指導で育てる。この当たり前のことができるよう教員の意識を変えることで、評判が上がり、口コミで広く大阪偕星のことを知らせてくれる保護者が増える、と浅岡教頭は期待している。

 その一方で、就任2年目の林茂樹副教頭は『まだ発展途上の学校』と評価する。生徒の将来につながる進路指導を実践するには、各教員の実力や意識のスキルアップがまだまだ必要というのが林副教頭の意見だ。

 「生徒の希望だけではなく、個々の適性や実力を複合的に考え、必要な進路を提示できる教員を求めています」(林副教頭)

 今後、まだまだ大阪偕星は伸びていく。完成した有名校ではなく、新しい学校を育てていくという過程に参画できること。それが大阪偕星の教職員全員が心に植えた『やる気の芽』であるのは確実である。

 
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