サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関西校・ 関西一覧
   

大谷中学・高等学校

 
  伝統に裏打ちされた全人教育が
生徒の人間的成長を促し、学力を伸ばす
1875年の創立以来、仏教の教えを基盤に一人ひとりを大切にする教育を展開している大谷中学・高等学校。教育理念である「樹心=人と成る」を、‘To Be Human’という学校スローガンに表し、生徒の人間的成長を促している。同時に学力のさらなる伸長をめざし、2007年に高校のバタビアコースに国公立大学進学を目標とするマスタークラスを新設。3年後の2010年には中学においてもマスターJrクラスを設定するなど改革を進めてきた。今年3月には一挙に60名が国公立大学に合格。改革の成果が表れ始めている。

校 長: 太田 清史
住 所: 〒605-0965 京都市東山区今熊野池田町12
電 話: 075-541-1312
交 通: JR奈良線、京阪本線「東福寺」駅より徒歩5分
学生数: 中学校 210名
高等学校 1,361名 (2014.9.1現在)
ホームページ: http://www.otani.ed.jp/

 

手を差し伸べ
自立へと導く学習指導

 「15人のうち10人が現役で国公立大学に合格しました」。

 今年度、中学教頭に就任した大橋眞悟教頭は誇らしげな笑顔だ。

 中学校の「マスターJr」第1期生は現在高校2年生。それ以前の生徒は、高校進学時にマスタークラスに編入という形をとっていた。その生徒たちの3分の2が北海道大学、金沢大学、京都府立大学などに現役合格を果たしたのだ。第1期生が卒業する来年度は、さらなる飛躍が期待されている。

 中学校は、国公立大学への進学をめざす「マスターJr」1クラスと、難関私立大学目標の「コアJr」2クラスを設置している。いずれも1クラス25人までの少人数編成。一人ひとりに目を行き届かせる丁寧な指導が行われている。

 その顕著な例が、半世紀以上も前から受け継がれているバタビアシステム(バタ担)。クラス担任が生徒と一緒に授業を受ける。アメリカニューヨーク州バタビア市の学校で始められたため、バタビアシステムと呼ばれている授業形態だ。同校では、生活や学習の基礎作りをする中学1・2年次に、「コアJr」の国数英の3科目で実施している。担任が生徒の目線で授業を受けることで、生徒一人ひとりの学習状況を詳しく把握できる。また、生徒にとっても身近な担任に見守られているという安心感は大きい。

 実際に、今年度の新入生保護者アンケートにおいて、バタ担は「学校選びのポイント」のベストテン内にランクインし、多くの支持を得ている。ちなみに第1位は、「校風」の71%。伝統校の校風の重みを感じさせる。

 大橋教頭は、「中学1・2年生は、教師が生徒に手を差し伸べながら勉強方法などを助言する時期。そこから少しずつ自立を促し、3年生になるころには、教師は応援する側にまわっています」と話す。

 一方「マスターJr」は、進度を速めて中学1・2年で国数英の中学課程をほぼ修了する。そのため、毎年7月と3月に2泊3日の学習合宿を実施。弱点克服やレベルアップをめざし、学習に集中する。自学自習により自ら学ぶ姿勢を身に付けさせることが目的だが、合宿から帰って来て1日10時間以上勉強できたことを誇らしげに話す我が子に手応えを感じる保護者も多いと聞く。

 また、「マスターJr」「コアJr」共通の取り組みに、「学習計画表」と「振り返り表」がある。「学習計画表」は、定期テスト1週間前からの具体的な学習計画を生徒自身が作成する。教科ごとの目標点も記入し、計画を実行していく。「振り返り表」は、テスト返却時にテスト結果を記録し、自分の計画を振り返る。また、担任と保護者がコメントを記入。生徒は、友人同士で計画表をオープンにして競い合うなど、学習へのモチベーションを高めている。

 こうした取り組みの積み重ねにより、中学3年間で偏差値が12〜13ポイントもアップ。ベネッセの学力推移調査においても、中高一貫校にありがちな中だるみは見られない。

他者から学ぶ
生きている教科書としての
「感話」

 学校スローガンの‘To Be Human’には、いただいた命のありがたさに気づいて自分の命を懸命に生かし切ること、同時に他人の命の尊さを認め、人間として成長していく(人と成る)という意味が込められている。

 「自分の力だけで生きているのではなく、そこには様々な支えがあることを自覚し、互いに協力しながら生きていくことを学んでもらいたい」と大橋教頭。

 この仏教精神が教育活動の根底に据えられている。

 まず、週に1度、講堂礼拝が行われる。ここでは、先生方が自身の体験など身近なできごとのなかから生徒に伝えたいことを話す。

 「人の話をしっかり聞いて、内容をじっくり考えることを宗教教育として行っています」。

 講堂礼拝で語られた話は、毎年「樹心集」という1冊の本にまとめられ、全校生徒に配布される。2013年度時点で「樹心集」は第48冊目。1冊1冊に伝統を受け継いできた先生方の思いが詰まっている。

 また、週に1時間設定されている「宗教の授業」は、「仏教に自分を学ぶ」時間である。毎回生徒の「感話」から始まる。内容は、体験談や失敗談など自由だが、必ず自分がどう感じているかを話す。自分をオープンにすることが求められるのだ。それに対して、他の生徒たちがコメントし合い、互いの理解を深めていく。

事前学習に時間をかけ
学びを深める

 学校行事を通しての学びにも重点を置いている。なかでも、事前学習に半年以上かける沖縄校外学習は生徒たちの心に強い印象を残す。中学2年の4月から、班別に沖縄の歴史・文化・自然について調べ、資料を作成し、発表する。沖縄の新聞を取り寄せて皆で読むこともある。基地や平和問題に関して、家庭で購読している新聞との論調の違いに驚くという。

 出発は11月。3泊4日の日程だ。現地では、ひめゆり平和祈念資料館などを見学し、普天間基地や嘉手納基地を高台から臨み、平和について改めて考える。その他、琉球藍絞り染めなどの文化体験、マリン体験なども組み込み、沖縄を学ぶ。

 3泊4日のうち1日は、農家などに分かれて民泊。農作業を手伝い、戦争を体験したお年寄りの話を聞く。事前に学習していたにも関わらず、直に語られる戦争の悲惨さに生徒たちは言葉を失うという。学校に戻ってきた後は、事後学習。自分の目で見て触れた沖縄を振り返り、自分の言葉で記録する。生徒たちのレポートは最終的に1冊の冊子にまとめられ、同時に一人ひとりの心に深く記録される。

 もうひとつの代表的行事が伝統の演劇コンクールだ。9月にクラス対抗で上演され、生徒と教員の投票で、最優秀賞が決まる。テーマは、友情や家族などさまざま。中学2・3年では、沖縄が舞台になることも多い。生徒自身が脚本・大道具・衣装・照明・音響を考える。1クラス20数名と少人数のため、それぞれ役割を掛け持ちしなければならず、互いに協力し合わなければ前に進まない。時にはぶつかり合い、話し合いを重ねて、演劇を完成させていく。そのプロセスが生徒たちを人間的に大きく成長させる。

 「最初は面倒がっていた生徒も、クラスの熱気に巻き込まれていきます」と大橋教頭は目を細める。

マスタークラスの75%が
国公立大学に現役合格

 今年度の高校入試で、大谷高校は京都府最多の2,626人の受験生を集めた。近年の進学実績の躍進に期待が高まっている。

 今春の卒業生は、マスタークラスの75%が国公立大学に合格。コアクラスからも38名が国公立大学に挑戦し、18名が合格を果たした。

 マスタークラスが入学当初から国公立大をめざすのに対して、コアクラスは難関私大志望。カリキュラムも勉強方法も異なる。

 入試広報部長の梅垣道行教諭は、「コアから国公立をめざす生徒は、7・8限目の自由選択授業などを受講して力をつけます」と説明する。

 高校では、生徒の進路希望をサポートする数多くの選択肢を用意している。例えば有名予備校講師による「AIゼミ」、独学できる「駿台サテネット」、志望大学ごとに個別指導する「赤本指導」など。

 マスタークラスは指定クラブに入部できないため、コアクラスで部活と受験勉強を両立させる生徒は多い。今年阪大に合格した男子生徒もバスケットボール部で主力選手として活躍した。また、中学入学時から女子ハンドボールの部活に打ち込み、今年インターハイに初出場した生徒も、教職をめざし京都教育大を志望している。

 生徒たちは、自分の学習スタイルや状況に合わせてオプションを選択し、そこで精一杯努力する。
「生徒一人ひとりの顔を思い浮かべながら、伸ばす仕組みをつくり、授業の準備をしてきました」と梅垣教諭。

 その成果が進学実績の数字となって表れてきている。しかし、梅垣教諭は「数字だけで判断せず、本校での学校生活をイメージして入学を決めていただきたい」と言い切る。そこには、大谷の教育に対する自信と誇りがうかがえる。

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.