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中学・高校受験:学びネット

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大阪偕星学園高等学校

 
  改革から3年
新生、特進1期生の大学実績に注目
偏差値30台から国公立大合格の快挙も
校 長: 梶本 秀二
住 所: 〒544−0021大阪市生野区勝山南2−6−38
電 話: 06−6716−0003(代)
交 通: JR大阪環状線「桃谷」駅・「寺田町」駅から徒歩約10分
学生数: 1,076名 (2014.5.1現在)
ホームページ: http://www.osaka-kaisei.ac.jp/

 

 思い切った学校改革で大きく変貌してきた大阪偕星学園高等学校(25年此花学院から校名変更)。平成22年に(株)成学社の太田明弘氏が理事長に就任。翌年、梶本秀二氏が校長に就任したことで、改革は一挙に本格化した。インフラの整備からはじまり生徒の進路保障、教職員の意識、そして「人は皆、星」という理念を掲げた校名変更など、構造から機能までの改革は、3年目にして早くもその成果を上げつつある。

 校長は「生徒が皆、自分の居場所があると思える学校、行くのが楽しいと思える学校であることがまずは何より大切です」といたってシンプルに語る。26年度、注目の私学を取材した。

専願で学則定員を確保
昨年よりも増加した入学者

 3月吉日、大阪偕星学園高等学校を訪ねると、新年度をひかえた校内は活気にあふれていた。生徒の元気な挨拶や教職員の丁寧な対応には、記者も恐縮するほどだ。

 3年前からハード・ソフト両面で改革に取り組んできた同校は、学校上げての地道な努力の結果、好調な生徒募集が続いている。受験者数や進学者数が右肩上がりに伸び、今年、専願の生徒だけで学則定員をほぼ確保している。公立の歩留まり率は10.4%、入学者は420名近くと昨年をさらに上回った。併願志願者の中には、公立の発表を待たずに入学の手続きを済ませた生徒もいたというから、人気の高さが伺える。

 だが、「学校として大切なのは生徒募集の好不調ではなく、本校に入学した生徒の満足度です。生徒数が増えるのはその延長線上ですから」と梶本校長は冷静だ。

 改革にはじっくりと取り組む手法もあるが、同校では当初より、改革の重点は、今いる生徒への満足度を上げることにあった。改革に仮に10年かかれば、10年後に改革が完成したとしてもそれまで在籍していた生徒は、置き去りにされたということになる。

  「今すぐやれることから手をつける。学校としては在校生を大事にすることは、当たり前のことだと考えています」

 改革元年に描いたハード面の整備は、教室内のフローリング・食堂・体育館・そして女子トイレに中庭の人工芝と9割がたが終了した。残り1割は数ヵ所の男子トイレの整備だが、これは年度更新で実施される。男子学生寮も新たに完成し、在校生はもちろんオープンスクールや説明会に参加する生徒や保護者からの好感度も高い。

 要因は生徒に寄り添うことに他ならない。

生徒と教師は
同じ夢を追う共同体

 一番の注目は改革元年入学生の大学合格実績だ。同校には特進、総合選択、スポーツの3つのコースがある。中でも成長戦略に掲げた「国公立、難関私大の現役合格実績の向上」では、特進コース選抜特進クラス1期生12人を中心に見事な実績に結び付いている。国公立へは広島大、信州大、香川大、鳥取大、琉球大、下関市立大へ6人、関関同立10人、産近甲龍13人の合格は立派だ。
林 茂樹副教頭は「かつての此花をご存知の方からすれば、驚きの実績だと思います。進学を担当する者としてはまだまだですが、初年度の結果としては胸をはってもいいのでは」と話す。

 要因は「入試は団体戦」という考え方に他ならない。教師陣で徹底されたのは、3年間という短期間での勝負だけに、カリキュラムの無駄を省くという工夫だ。併せてミスマッチをなくすために、教師が常に生徒に寄り添い生徒と本音で語り合った。そうすることで生徒と教師が同じ夢を追う共同体となるのだという。

 25年度卒業の特進生の中には、入学直後の偏差値34からスタートし、結果的には国立大学の合格を勝ち得た生徒もいる。同校では成績や本人の向上心によって、進級時のコース変更にも柔軟に対応している。

 「特進の生徒だけを大事にしているわけではありません。総合選択コースもスポーツコースも、子どもたちは皆、星なのです。」と力強く梶本校長は話す。

強い味方の校塾連携
切磋琢磨でスキルアップへ

 大阪偕星学園には、関西では初の試みである「校塾連携」という特徴的な取り組みがある。膨大なデータと指導ノウハウを持つ大手進学塾「個別指導学院フリーステップ」との連携だ。「校塾連携」による講習授業は、同校施設内で開講されているので物理的にも経済的にも生徒・保護者の負担は少ない。大阪府下でも随一の関関同立への合格実績を誇る個別指導「フリーステップ」の講師たちが生徒をバックアップしているのだ。

 「『校塾連携』講習を担当する講師についてはシビアな目で見させて頂いて、講師の交代もあります」と校長。

 手厚いフォローは枚挙にいとまがない。

 選択科目が増える学年になると講座によっては受講生が少ない場合もある。公立などでは、例えば10人揃わないと開講しないというケースもあるが、同校ではそうではない。

  「3年になると理科・地歴などは科目を選択することになりますが、選択した生徒がたとえ二人でも授業を開講します。これには塾の先生も驚かれます」と林副教頭。教師陣にとっては責任逃れのできない、切磋琢磨する場となる。

 同校の教師集団には、「戦う集団を作る」ことに関するノウハウと「団体戦をどう生徒に戦わせるか」また、「勝利や敗北から何をどう学ばせるか」についての長年の蓄積が伝統として息づいている。改革3年が過ぎた今、その伝統は進路指導でも確かな成果へとつながりつつあると言える。その根底には、1つのチームとしての教師と生徒、教師と保護者、そして理事長、校長を中心とする教員相互の深い信頼関係が存在している。

 梶本校長は「本校が1つの建造物であるとすれば、ようやく基礎工事が完了したといったところです。今まで期待値だけで応援して頂いた方々には応えていきたいし、これからもまず今、実現可能なことから着実に実行していきます。進学実績も大事ですが、何よりもまず生徒の居場所のある学校でありたいと思っています」と述べた。

※ 記者からの一言
梶本校長の人柄には、教育者然とするところがない。誰に対しても公平だ。こんなことがあった。年末に2トン車3台は必要なほど多くのごみが出たときだ。業者が一人で収集に来たため、校長は職員室で「手の空いた先生方〜!…」と声をかけた。すると、校長が皆まで言う前に、教師20名あまりが積み込みを手伝うために集積所へと小走りで向かった。結果、積み込みは短時間で済んだ。教科を教えることだけが学校教育ではないという「梶本イズム」は深く浸透していると感じた場面であった。

 
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