Good Morning!元気よく教室に入って来る英語科の中垣優子先生。手に持っているのはタイマーだ。「まずフラッシュカードいきましょう」。手元のパソコンをクリックすると、デジタルボードに次々と英単語が映し出される。nature、shine、sweet。30名の生徒が一斉に発声。デジタルペンでボードに触れると、一瞬にして画面が切り替わる。ウォーミングアップは軽快に始まった。
「では、隣の人と二人一組になって」。今度はペア練習。終われば即座に英文のプリントが配られる。先生はタイマーをセット。「さぁ、5分間読んでください。Ready Go!」
5分経過。英文に関する質問項目に生徒が次々と答えていく。ここまでで授業開始から8分しか経ってない。そのスピードとテンポに記者は驚いた。
「中学生の集中力を持続させるためには、授業のリズムが大切です。デジタルツールを使えば、次々といろんなアイテムを繰り出せる。その変化で集中力を持続させ、密度の高い授業をできるのが最大の効果です」と中垣先生は話す。
多様な映像とネイティブ音声で
実社会で通用する英語力の養成を目指す
電子教科書の仕組みはこうだ。教室正面に設置されたデジタルボード上部には、インタラクティブユニットが取り付けられている。この装置がボード上の様々な動きを感知し、瞬時にパソコンが映像や音声を再生。文章の一部にタッチすると、該当箇所の英文や単語が瞬時に流れる。いくつもの教材を瞬時に切り替え、ボードに投影することも可能だ。また、板書をデジタルデータとしても保存可能。必要があれば、いつでも再表示できる。
「以前はパワーポイントで教材を作っていました。CDから音声を流していたので、操作のタイミングを合わせるのが大変でした。電子教科書では単語も長文もすべてネイティブ音声が流れます。自然なイントネーションの発音を聞きながら、テンポ良く繰り返し練習できるので、発音や聞き取りの力を高めるのに非常に効果的だと思います」
授業はその後、「文法解説」「音読練習」「ペアでの英訳・和訳」「サマリー」など、たくさんワークが繰り出され定着がはかられた。現中3生は入学時から電子教科書を使用しているので、戸惑うことなく慣れた様子で次の作業に移っていく。 |
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学習成果を見える化する工夫で
生徒のモチベーションをアップ
英語は反復練習が重要と言われるが、金蘭会ではこの点も様々な工夫を行っている。その一つが「スペリングノート」。生徒には最低でも1日2ページの課題を課し、その日に習ったことの復習やテスト勉強など生徒の自学自習を促している。ユニークなのは全員の進み具合を一覧表にして校内に掲示していることだ。成果を「見える化」することで、生徒のモチベーションアップを図っている。
それまでの取り組みを省みながら新しいものを取り入れ、修正を加えながら良い部分を授業に定着させていく。これが金蘭会全体の指導方針。
「英語の教師陣は学外の勉強会などに参加して、常に指導法の研究を行っています。本校は教員がこれをやってみたいと提案すれば、すぐに実践できる校風なんです。教える側も非常にやり甲斐がありますよ」と中垣先生は、授業後の取材で話してくれた。
教育現場に浸透してきたデジタル教科書。いち早く導入した同校では、その長所を最大限に生かしていると感じた。
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