生徒の最終的な希望は大学の現役合格であり、これはどの学校でも同じ。しかし、私学では実績者数に浪人生の数を上乗せして発表する場合も多い。大阪産業大学附属高校では、現役の4年制大学進学者数が希望者の71%、短大・その他の学校への進学者数は希望の85%が現役で進学という輝かしい成績を持っている。
これに浪人生の合格者数を加えれば、実績はさらに上昇することは間違いない。これは附属大学への推薦だけではなく、多くの他大学からも推薦枠を入手していることも大きな要因である。推薦枠を得た大学は日本全国に渡っており、生徒の幅広い選択肢が広がっている。また、推薦枠ではなく、受験でさらに上の学校を目指したいと願う生徒のために、特進コースを用意。1年時からみっちりと内容の濃い授業を受けることで、受験時には万全の体制をとることのできる実力を養成していく。
しかし、大学へは進みたいが、進学先の学部が決まっていないと、勉強への活力が育たないのが高校生の世代である。それを解消するために今年度より導入されたのが、附属大学の教授による講義である。今までにも、大学広報による生徒対象の宣伝活動は行っていたが、それをより具体化し、実際に大学ではどのような講義や実践・実験を行っているのかを体験して、興味をそそらせるのが目的だ。このほかにも、1年時より大学のオープンキャンパスに参加したり、それ以外の日に校外学習の一環として大学の講義に参加する等のメニューも用意されている。先輩たちのいる大学風景を垣間見ることで、生徒たちは大学への期待感を胸に、一層勉強に力を入れるようになるのだという。
また、少数ではあるが、高校卒業後には就職することを選んだ生徒たち、そして大学卒業後には必ず就職するだろう生徒たちの将来についても、焦点を外していないのが大阪産業大学附属高校の特徴である。現実として、学歴が社会で物を言うのは就職後数年が限度、あとは実力とその職に対する情熱が重視されるようになってくる。そのため、生徒に社会でどのような仕事に就きたいか、または目標の職に就くにはどのような道を選べばいいのかといったアンケートをとり、あらゆるコネクションを導入して専門職として現役で活躍している人材を招聘。数時間の講義や生徒からの質問に答える場を設けて、将来の夢へとつないでいる。
これらのシステムを具現化し、持続してさらにより良いものへと変化させていくために、現在もスタッフによる情報収集は続いているが、その収集と分別方法にも、近々効率アップのための変革が行われる予定だ。
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「より良い校内活性化に向けて」
牧本英男校長インタビュー―
―― 先日、2月初旬の受験者数結果で非常に高い数値が出たそうですね。
初の内部進学生がいることや、前年が非常に数値が悪かったということもありますが、それでも去年よりかなり高い数値ですから、喜ばしいことですね。
―― 原因として、スタッフの方々の努力も大きいと思いますが。
本当にそうです。特に、広報のスタッフは、公立中学を一軒一軒回り、本校の良さを伝えてくれました。その活動のおかげで本校を理解してくださった公立中学の先生方が生徒に受験指導をする時に、本校への受験を勧めていただけるようになったのは大きいと思います。また、卒業後の進学先の大学も、全国の多数の大学から推薦枠をいただきました。これにより、現役進学の道が選択肢とともにさらに広がったことも、生徒募集には大きかったようです。ただ、これはあくまでもシステム上のことなので、生徒にはこれにもたれかかるのではなく、自らのやりたいことを見つけて、それを専門に学べる学校選びを行うように指導しています。
―― 具体的にはどのような指導でしょうか。
附属である大阪産業大学から教授を招き、実際にどのような授業を行っているのか、高校生を対象とした模擬講座を行ってもらったり、オープンキャンパスに参加したり、校外学習の一環として大学で講義を受講したりなど、色々なことを行っています。このほかにも、高校卒業後に就職をする生徒や、将来にどのような職に就きたいか悩む生徒には、専門職を営む人材に何をどのように学び、身につければいいかを話してもらう職業フォーラムも行っています。
―― 将来までの道が見えるようになるのですね。生徒たちの意識にも変化があるのではないですか。
確かに将来がぼんやりとでも見えるようになれば、生徒のやる気も違ってきますね。激動の時代と言われるように、数年前とは価値観の持ち方が全く変わってしまっている現在、大人なら気持ちを切り替えて新しい価値観に自らを合わせていくことができますが、学生はそうはいきません。ですから、様々な社会での価値を認識し、その中から自らの道を選択できるよう指導することに重点を置いています。生徒も多くの人から話を聞くうちに自信を持ち、前向きに学校生活を送るようになりましたね。その結果、単位取得数が足りないための留年などの問題も減り、先日行われた卒業式では、色々な表彰を行ったときに素直に他者の評価を喜び、拍手で祝福する生徒がほとんどでした。これは非常に良い変化だと思います。
―― 今後の課題は何でしょう。
私自身、現場ともっと触れ合い、情報を身近で得て活用するために、校長室の位置をより広報や職員室に近い場所に変えました。今後は、周囲にいる職員全員とともに、教育やそれを取り巻く社会に関する情報を素早く入手・分析し、職員の誰もが必要なときに必要な情報を有効に使うことができるようなシステムを確立していきたいと考えています。また、教員にも自分の本質を語ることで、生徒との信頼関係を揺るぎないものにするようにと呼びかけています。来年度の大阪産業大学附属中・高にご期待ください。
―― はい、期待しております。本日はありがとうございました。
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