通信制を選びとる受験生像
JR学研都市線の長尾駅から西へ徒歩8分の枚方本校は、閑静な住宅街にある。駅前から通学する生徒が途切れることがないのは、それぞれが選択した授業や自分のスケジュールに合わせて登校するためだ。必修科目の履修は当然あるが、それ以外は学年の枠にとらわれることなく多種多様な選択科目を受講することができる。いわば自分流に学べるスタイルが通信制の最大のメリットといえる。
大阪市内で情報やデザイン関連など専門学校を運営する、学校法人東洋学園が同校を開校したのは17年前。当時、通信制高校に対する社会的イメージは明るいとはいえなかった。中退や不登校により学ぶ機会を失った生徒が再チャレンジする場で、どちらかといえば消極的イメージがつきまとっていた。実際はそうした生徒たちも一時のつまずきを糧として、学び直し、新たな目標を持って卒業していく生徒が大半だ。が、同校は「自分流に学ぶ」という積極目標を持った生徒たちをより多く受け入れることにより、新たなスクールモデルを提唱し続けてきた。
ある生徒は昼間、テニスに打ち込む時間を十二分に確保し、夜間にレポートづくりに励む。また、別の生徒は海外に留学し、ウエブやマルチメディア教材を活用しレポートを提出、都合のつく日程でスクーリングを行う。さらに、全日制高校に通う生徒が、時間的にもカリキュラム的にも効率的な通信制で難関大学を目指すために転入する。いずれのケースも今、この時に挑戦したいことを諦めずに高卒資格を取得したいという生徒たちに積極的に選ばれるようになったのである。
その結果、高校総体テニス部門では例年優勝から上位ランクを占める成績を修め、テニスなら長尾谷と誰もが知る強豪校となった。最近は、バドミントンや軟式野球でも頭角を現し、全国高校定時制通信制大会で好成績を収めるに至っている。
部活動だけでなく、F1レーサー、リングアナウンサー、津軽三味線奏者、ミュージシャンなどさまざまな目標に向かって夢を育む生徒が入学してくる。無論、体調不良や人間関係につまずき、全日制で学ぶことを挫折した生徒も少なくないが、チューター制によるきめ細やかなバックアップで生徒一人ひとりに適った進路指導を実現している。
卒業へきめ細やかなサポート
進学志向に応える体制も強化
昨春、副校長に就任した右田辰生先生は全日制の公立高校で校長職を経験したベテラン教師だ。そんな右田副校長に長尾谷の生徒像について伺うと、「とにかく個性的」という一言が返ってきた。カリキュラムが一定の全日制に比べ、同校では自ら選んだ教科で単位を取らなければならない。そこで、選択の段階で生徒は自分の学びたいことをじっくり考える、つまり、自分自身を見つめるプロセスを踏んでいるわけだ。
そうしたプロセスの中で、入学時にはとにかく高卒資格取得を目標にしていた生徒も、卒業までには自分自身はどういう進路を目指すのか、どんな職業が向いているのかを見極められるようになるという。
ただ、そこに至るまで生徒も教職員も道は平坦ではない。部活動と教科学習のバランスを崩したり、アルバイトに専念するあまり自宅でのレポートづくりに挫折しかける生徒がいたりと目が離せないのも事実。が、そこは生徒一人ひとりをきめ細やかに見つめるチューターが、保護者との連絡を密にし、協力し合いながら高卒資格の取得、目標とする進路へ進めるようサポートを行っている。
右田副校長は「生徒全員の状況を把握するため、チューターは生徒記録簿を作成し、その時々に必要があると認めた時は、必ず保護者に電話を入れます」とも。自主自立的に学ぶことが通信制のスタイルとはいえ、10代の生徒を多く預かる学校としては不可欠なシステムといえるだろう。加えて卒業を控えた生徒に対しては、特に三者面談を重視するなど保護者との連携頻度を高めているという。
一方で進学意欲の高い生徒に対しては、大学センター試験対策として補習授業を今年度から制度化(別途授業料が必要)している。梅田分校が中心となって始まった授業だが、枚方本校はじめナンバ、京都、奈良の各分校、分室からの受講生徒も多い。ここ数年、国公立大学をはじめ地元関関同立などに合格者を増やしていることもあって、「将来的には進学コースの設置も考えている」と右田副校長。 |
転編入学は随時可能
現在、枚方本校と2校の分校、2分室を合わせた生徒数は2348名(11月20日現在)。中学新卒生(高校未入学)の受け入れは3月と9月のみだが、現在高等学校に在籍中の生徒の転学、編入学は随時入学が可能である。転編入学の場合、前籍校での修得単位が原則認定される(専門科目の認定上限は24単位)。
なお、中学卒業後、入学する生徒の試験は数学、国語と面接によって行われる。高等学校から転編入する生徒については学科試験を免除、書類審査と面接による選考を実施している。
■ナンバ校
〒556-0011 大阪市浪速区難波中3-16-5
TEL06-4396-7281 FAX06-4396-7282
JR、南海、近鉄、地下鉄難波(なんば)駅より徒歩6分
■京都校
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■奈良校
〒630-8115 奈良市大宮町4-266-1
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近鉄奈良線新大宮駅より徒歩6分、JR奈良駅より徒歩10分
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