個々の希望進路へ導く
個性的な4つのコース
JR線からも近鉄線からもほど近い場所に位置するため、大阪府内からの通学生も多い南京都高等学校。ここは、2001年に総合・スポーツ・進学・福祉の4コース制を始め、本年で全学年がコース制として整ったばかりの高校である。また本年からは進学コースを男女共学化して、さらなるレベルアップを目標に、生徒教員ともども邁進中だ。
進学コースは4年生大学はもちろん、医療系短期大学や専門学校の受験も視野に入れて充実した内容で現役合格を目指す。毎朝、授業前に10分間の小テストを行い、自分の実力や弱点を日々確認することができるようになっているのも特徴である。
スポーツコースは受験科目に実技があるが(推薦受験者は免除)、中学生時代に高い実績や公式大会での受賞結果などを必要とするわけではなく、あくまでも生徒自身の実力と熱意で合否が決まる。校内だけの指導ではなく、スクーバダイビング、スキーやゴルフなどの課外授業や、普通救命講習を受講しており、そのための施設も充実している。卒業後はプロ野球やプロボクシングの世界に入った諸先輩方をはじめ、様々な分野で広くスポーツにかかわる仕事に携わっている人間が多い。
福祉コースは在学中に訪問介護員3級・2級の資格を取得できるように指導が行われる。また、学校近隣の特別養護老人ホーム、身体障害者リハビリ施設、保育所などでの実習が行われ、自分の決めた将来の仕事の意義を見いだせるコースでもある。3年次には福祉住環境コーディネーター3級取得の受験対策講座も設けられており、より高度な介護員としての資格を取るために、毎年多くの受験者が熱心に講座を受けているのだ。卒業後には福祉系大学・短大のほか、併設校である京都福祉専門学校への内部進学コースも設けられており、こちらでは卒業と同時に介護福祉士の資格を取得できるので、幅広い福祉関係の仕事に就くことが可能である。
総合コースでは、基礎学力の徹底に始まり、希望者が受講できるアシストレッスンなどで、充実した学習環境のなか、実力アップにつないでいく。情報コンピュータ実習なども、文章入力をはじめ地図・表を作成するなど、実際に社会で必要とされる知識を育成するように行われており、併設校である京都情報ビジネス住環境専門学校で体験授業も実施。卒業後には進学・就職のどちらを選んでも後に十分な活躍ができるような指導が受けられるのが魅力のコースである。
これらのコース説明は、今年度改訂された南京都高等学校の学校案内に詳しく掲載されている。
「良いことばかりを並べるのではなく、本当にやっていこうと思っているもの、また実際に行っていることを伝え、どのような生徒を募集しているかということを訴えるような学校案内になっています」。
入試委員の稲垣正継先生の話すように、明確に書かれた募集案内を見て問い合わせてくる受験生や塾も少なくないそうだ。
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少林寺拳法と座禅で
精神的な強さを磨く
正課授業でどのコースにも必修となっているのが少林寺拳法である。これは身体を鍛えるだけでなく、組み手の方法を決め、相手との呼吸を合わせて演武することが基本。自分の力量を確認し、相手の立場になって繰り出される技を考え、それを受け、かわし、攻撃する型を練習するなかで、他者とのかかわりや心の機微を知ることができるようになる。
このほかに、座禅も授業に組み込まれている。静かな時間の中で意識を集中し、心を無にすることで、内なる悩みや将来のことを冷静に考えられるようになる。座禅の後には、自らの中で悩みの答えを見つけ、晴々とした表情で次の授業を迎える生徒も少なくない。
こうして心身ともに自らを鍛える生徒を導くために、教員による細やかな配慮が行き届いている。生徒と接する時間を少しでも多く得るために、当番制で朝の通学路に立って登校指導を行うほか、昼食や掃除も生徒と一緒に行う。それに伴い、生活指導も厳しく指導しており、ピアスや茶髪はもちろん、制服の乱れなども徹底して指導が行われる。これは生徒の将来を見据え、社会の中でのルールを守ることの大切さと厳しさを教えるためでもある。また、保護者との信頼関係を確立し、家庭と学校の両方で生徒の育成を促そうと、ことあるごとに家庭への連絡が届けられる。その連絡の細かさに、保護者のなかには「高校でここまでやってくれるなんて」と感嘆の声を上げる人も少なくないほどだ。
クラブ活動もスポーツ系を中心に様々な実績を上げている。全国大会にはボクシング部や少林寺拳法部、レスリング部などが出場し好成績を修めているほか、野球部やラグビー部、サッカー部なども着実に力をつけてきている。また、文化系クラブも女子の加入でにわかに活気を増し始め、新規同好会も続々と実働計画が開始されようとしている。
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