京大、東大を志望する特別進学コースの男子
東大阪大学敬愛高等学校は、東大阪大学と同じキャンパス内にある。女子校であったが、2006年度に男女共学化に踏み切った。その理由について筒井宣興教頭は次のように話す。
「進学を目的とする優秀な男子を受け入れ、女子を引っ張って行ってもらいたいのです。ですから数にはこだわらず、試験の合格点は女子よりも高く設定しました。一期生は、中学校で一番であった男子が2名、特別進学コースに入学してくれ、喜んでいます」。
二人の男子生徒は別々の中学校の出身であるが、互いにライバル意識を燃やし、志望校は京大か東大だと意欲的に学習に取り組んでいる。
特別進学コースは30名定員の少人数であり、生徒の志望校により個別対応ができることが同校の強みだ。この男子生徒らのために、代々木ゼミのOBを講師に迎えて国語と社会の授業を行い、夏休みには物理と数学の特別授業を予定している。
「どうにかして二人を合格させてやりたいのです。またもちろん彼らだけではなく、どの生徒にも志望校に合格できるよう、必要に応じて個別に対応していきます」と筒井教頭。
このほか、進路に応じて、4つのコースが設けられている。留学特進コース、こども学コース、介護福祉コース、総合選択コースで、総合選択コースは女子のみ、他は男女共学である。
東大阪大学との提携でメリットが多い介護福祉コース
5つのコースの中でも「介護福祉コース」は、非常に恵まれた環境で学ぶことができる。キャンパス内にある東大阪大学は、近畿有数の充実度を誇る介護実習室や入浴実習室があり、コースの生徒はそれらの設備を活用して実習を行うことができる。また生活福祉専攻の教授による、専門授業を実施。高校卒業時には、ホームヘルパー2級の資格と介護福祉士の受験資格が得られる。
介護福祉士の国家試験は、以前と異なり、現在は実技については、あらかじめ学んでいれば、免除される。同校では夏休みに大学が本校生のためだけに行う介護技術講習会で実技を習得するため、筆記試験のみに集中することができる上、試験会場にもなっているので、リラックスして受験することができる。今年の国家試験の合格者は約半数。さらに高度な福祉知識や技術を学ぼうと大学へ進学する生徒も多い。
一方「こども学コース」は、こども好きで、小学校や幼稚園、保育園などの先生をめざすコースだが、やはり大学との提携で大きなメリットがある。東大阪大学こども学部、同短期大学部幼児教育学科には、基準の成績を修めれば、無試験・入学金免除で優先入学ができる。
また「留学特進コース」はオーストラリアへ留学して国際社会で活躍できる英語力と視野を身につけるコース。留学期間は、3ヶ月、6ヶ月、1年の中から選択できるが、ほとんどが1年間留学するという。
「やはり半年では不十分で、1年間行けば十分英語力が身につきます。今もクラス全員が1年間留学しています」と筒井教頭。進路は、英語力を生かして、関関同立など難関私立大学に進む。基本的には特別進学コースと同じカリキュラムとなっており、1年間留学していても、留学中の単位も認められ、3年間で卒業ができる。
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じっくり夢を探すための総合選択・総合進学コース
最も生徒数の多い、女子のみの総合選択・総合進学コース。筒井教頭は、「まだ高校1年生では、自分が何に向いているのか、将来何をしたいのかがわからない生徒がほとんどです。1年間で自分探しをして、2年生から自分の道へ進んで行ってもらえるようなカリキュラムを組んでいます」と説明する。
自分の夢や適性などを探すため、今年度より「キャリアプランニング」という授業を専門的な教育を受けた教師が中心となって、週1時間実施している。これは、人間関係形成力、情報活用力、将来設計力、意志決定力という4つの力をつけるキャリア教育である。まずは、夏休みまでをひと区切りとし、「自己を肯定し、他者を理解できること」を目標に、ワークショップを中心とした授業を行う。エコグラムや適性検査のほか、仕事における役割を明確にしたものを演劇にして見せるなど多彩な方法を取り入れた。
先頃「自己肯定観」についてのチェックシートを生徒に配布し、記入してもらったところ、ねらい通りの方向に育ってきているという。
ハローワークやATCの見学に続き、2年生からは、職場体験を行う予定。そして2年進級時で「総合選択コース」か「総合進学コース」かのどちらかを選ぶ。総合選択コースは、午後の授業は、趣味的な教科、就職に役立つ教科や資格取得のための教科など選択科目が数多くあり、進路や興味に合わせて選べるようになっている。いずれにしても、きめ細やかな進路指導を受けることができる。
クラブとサークル活動
生徒が楽しく高校生活を送れるように、大きな行事として3日間の敬愛祭(体育祭・文化祭)を行うほか、クラブ活動を奨励している。クラブ活動とは、全国レベルの柔道や空手部や陸上部が中心で、もう一つ、4人いれば認められるサークル活動がある。バンドやダンス、料理、ゴルフなどクラブよりも数多くある。
そして特に女子高校生がこだわる制服。森英恵デザインで、アイテムも色もバリエーション豊富。例えばスカートもリボンも4色。自分らしいスタイルが楽しめると非常に好評だ。
なりたい自分のある生徒も、まだ探している生徒も、楽しく、かつ希望に燃えて学校生活が送れるように、日々努力している同校。改革後はさらに注目が集まっている。
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