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中学・高校受験:学びネット

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浜松海の星高等学校

 
  未来に生きる先駆的な取り組み
〜キャリアデザイン教育と英語・国際教育〜
「勁く、優しい、自立した女性」を教育目標に掲げる浜松海の星高等学校。カトリック系ミッションスクールの伝統を継承しながら、現代社会をしなやかに生き抜く女性の育成を目指す。今年度からはキャリアデザインの授業をスタート。社会や自分について深く知り、将来のプランニングまで行う。また、英語・国際教育では、昨年夏に最新鋭のCALL教室が完成。オーラル教育に効果を発揮している。

理事長: 北脇 保之
校 長: 高橋 美智子
住 所: 〒432-8018 静岡県浜松市中区蜆塚3丁目14番1号
電 話: 053-454-5376
交 通: 遠鉄バスJR「浜松」駅バスターミナルのりばAから、系統番号8・鶴見富塚循環(広沢・医療センター)海の星高校下車、系統番号0・遠州浜蜆塚線(蜆塚・佐鳴台)蜆塚遺跡前下車
学生数: 438名 (2013.7.1現在)
ホームページ: http://www.uminohoshi-h.ed.jp

 

社会を知り、自分が
できることを考える

 キャリアデザインの授業は、高2生を対象として週に1時間行われる。1年をかけて、社会認識から自己理解、職業理解へと進み、最後に自分の将来について具体的な計画を発表する。担当の佐藤友章先生は、大手民間企業に28年間勤務の後、大学でキャリア教育を学んだという経歴の持ち主。

 これまでに、産業社会の変化や労働市場、雇用状況について学習してきた。その中で生徒に強い印象を与えたのが、正規雇用と非正規雇用との生涯獲得賃金の格差だ。佐藤先生は、「『社会』の厳しさを知ったうえで、いま自分ができることを考えてもらいたい」と話す。

 今回のテーマは「高校と大学の違い」。正面のプロジェクターに、「高校は号令がある。起立! 礼! 着席! 大学ではありません。なぜ?」と映し出された。

 生徒たちは5〜6人ずつの班に分かれて話し合い、思いついたことをポストイットに書き、配布された用紙に貼り付ける。いわゆる「KJ法」である。

 各班の意見がまとまったところで、代表が前に出て発表。事前に佐藤先生が、立つ位置やポインターの使い方など効果的なプレゼンの仕方を説明する。

 発表で共通したのは、「高校生はまだ成長段階。大学生は大人だから自己管理できる」や「大学は自由、自己責任」というもの。グループワーク中心の参加型授業は、生徒に好評だ。

 今後は、花王(環境問題)やソニー生命(ライフプランニング)など、外部講師による出張授業も予定されている。

 「未来を描ければ、目的意識をもって自立的に学習できます」と佐藤先生。17歳で学ぶ1単位の意義は大きい。

文字、音声、映像を組み合わせた
マルチメディアで英語力アップ

 ブラッドリー・ローデン先生の今日の授業は、英語会話テキスト「PASSPORT」の入国審査の場面。入国目的や滞在期間、滞在場所などを審査官から質問される。

 CALL教室には、2人掛け用のデスクが20台並ぶ。生徒1人ずつにパソコンを配備、その間にセンターモニタが1台設置されている。モニタには先生が用意した資料映像などを映す。一方、先生のモニタには、生徒の名前入りの座席表。先生が生徒一人ひとりの発音をチェックすることも可能だ。

 授業は、会話の内容をテキストで確認してから2人ペアになって練習する。次に各自ヘッドセットを装着して、教材の会話に聞き入る。ブラッドリー先生は、「CALL教室で授業をするようになってから、リスニング力がアップしました」と満足げだ。

 また、効率よく授業を展開できるので、会話練習に十分な時間をとれるのもメリットだ。この会話を生徒はパソコンに録音し、さらに自分のUSBメモリに移す。後で発音をチェックしたり、家に持ち帰って、親に聞かせたりするのだという。

 同校では、以前より海外への長期・短期留学制度やアメリカの大学への進学制度が整えられており、カトリック校ならではの国際教育が行われていた。さらに2年前からは、全校生徒がTOEIC、あるいはTOEIC Bridgeを受験するなど、英語・国際教育に力を入れている。このCALL教室完備により、一層の英語力向上が期待できそうだ。

<一期一会>
浜松海の星高等学校 北脇保之理事長に聞く

自信と希望を育む
新しい時代の女子教育を目指して

 浜松海の星高等学校は、女子校の相次ぐ共学化の中、カトリック系ミッションスクールとして女子教育の伝統を守り続けてきた。元浜松市長の北脇保之氏が理事長に就任したのは2年前。行政、政治、教育と幅広い分野の最前線で培った見識と多面的な視点から、新しい時代の女子教育を目指し、学校改革に取り組んでいる。

女子校の存在意義を発信

 北脇理事長は、1999年から2007年まで浜松市長を2期8年間務めた後、東京外国語大学教授を経て、一昨年に浜松海の星高等学校理事長に就任した。それ以前に理事を3年間務めており、同校のキリスト教を基盤とする「心の教育」と、その結果としての温かい校風を高く評価していた。理事長就任の要請にも、「郷里で若い人たちを育てる仕事にやりがいを感じた」という。

 最初に取り組んだのは、女子校の良さを発信することだった。浜松市内のもうひとつの女子校と共催で「女子校再発見シンポジウム」を開催。東京から教育学の専門家や名門女子校の校長らを招き、講演やパネルディスカッションを行った。女子だけの環境で、のびのびと力をつけ、リーダーシップを育てられる女子校の存在意義が、まさに再認識された。

 同時に、「女子校は明るくて楽しい」というイメージを伝えたいと、昨年3月にサッカー部を創設。新入生を含めて1チームできたところで、早速、インターハイの県予選にエントリーした。しかし、全員サッカー未経験者の無謀ともいえる挑戦は、「23対0」などの完敗続き。それでも一生懸命に頑張る姿がマスコミに取り上げられ、話題を呼んだ。

 こうした動きが徐々に知れ渡り、入学志望者が年々増え続けている。

力を蓄えて
しなやかに生き抜く

 「勁(つよ)く、優しい、自立した女性」。これが新しい時代に向かう女子教育の目標である。「勁」の字はしなやかな強さを表している。

 10代後半の女子の多くは自分に自信が持てず、不安を抱えている。北脇理事長は、生徒たちに「自信と希望をもって海の星を巣立ってもらいたい」と願っている。そのために伝統の心の教育を堅持し、神に愛され守られている自分を大事に思う気持ちを育む。同時に、実社会をしなやかに生き抜くには現実的な力を養う必要がある。

 そのひとつが、グローバル化社会で求められる実践的な英語力と国際性だ。以前より留学制度など力を入れていた分野だけに、海外で活躍している卒業生も多い。昨年は最新鋭のCALL教室が完成。英語・国際教育をさらに充実させる。

 そしてもうひとつが、今年度からスタートしたキャリア教育の授業である。厳しい雇用状況の中で、就職しても3ヵ月で辞めてしまうなど、実社会に適応できない若者が目立つ。北脇理事長は、高校時代から職業観や勤労観を育て、社会で自分を守りながら、キャリアを積んでいく準備をさせたいと考えている。

 現在は、ほとんどの生徒が進学する。生徒の進路希望を叶えるために進学指導強化も欠かせない。今年は、上智、青山学院、明治大学などいわゆるMARCHクラスへの進学実績が伸びた。

 「学校全体が熱意をもって、より良い教育を目指していることが、生徒に伝わります」

 同校が目指すのは、生徒が自発的に努力する雰囲気にあふれた学校だ。

 「そのための仕組みをしっかりつくって、学校全体を動き出させるのが私の仕事です」と、北脇理事長は穏やかな笑みを浮かべた。

 
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