先生と生徒の距離が近くアットホーム
クラーク記念国際高等学校名古屋キャンパスは、名古屋駅から徒歩5分の好立地。地上7階建てのビルが校舎である。
毎朝9時頃になると制服姿の生徒たちが次々と登校してくる。正面玄関前では、友達を待ちながらおしゃべりに夢中の女子生徒たちの姿も見られる。
名古屋キャンパスの週5日通学「総合」コースは、1学年2クラスで全生徒数が約150人。アットホームな雰囲気だ。職員室も、玄関ホールの奥にカウンターで仕切られただけのオープンなスペース。登校する生徒たちが先生方に気軽に挨拶していく。先生方はもちろん、生徒全員の名前と顔を把握している。
広報担当の鈴木浩教諭は、「先生と生徒の距離が近いのが本キャンパスの特長」と話す。卒業した生徒が母校を訪ねてくることも多い。
「入学してくる生徒の中には、それまでの経験から、学校に対してマイナスイメージを持っている者もいます。そのイメージをプラスに変えてあげるのが私たちの仕事。クラークに入って良かったと、卒業してからも生徒が遊びに来てくれる。そのこと自体が学校への評価だと思っています」。
オンリーワンコースを新設
同キャンパスには「総合」コースの他、単位制の「ジョイフル・スタディ」「ウィークエンド」「在宅Web」の3コースがあり、現在は4つのコースが開講されている。
ジョイフル・スタディコースは最大週3日の通学。ウィークエンドコースは毎週1回、土曜日のみ通学する。
生徒は入学、あるいは転入・編入時に自分の適性や学習スタイル、進路目標などに応じて、4つのコースの中から選択する。
以前は、中学時代に不登校だった生徒が入学者に多く見られたが、最近は、「従来の学校教育では自分を伸ばせない」と同校を志望する生徒も増えている。さらに、自分の夢や目標を実現するために入学してくる生徒も多い。
例えば在宅Webコースには、女子アマチュアゴルフの世界ジュニアで優勝した選手が在籍。またジョイフル・スタディコースにも、前回の国体で個人19位の成績を残した男子選手が学んでいる。
「本校の位置づけが、自分らしく学ぶために積極的に選ぶ高校というようになってきています」と鈴木先生。
進級時にコースを変更することも可能だ。入学後に新たな目標を見つけ、単位制コースから総合コースに変わる生徒も少なくない。もちろん総合コースから単位制コースへの変更もできる。
ある男子生徒は、2年次に同校の留学制度を利用して4ヵ月間留学したところ、海外生活がすっかり気に入り、3年次には、さらに長期の留学をするため在宅Webコースへ変更した。
来年度からは新たに「オンリーワン」コースが開設される。このコースは、1クラス15人の少人数編成。カリキュラムも総合コースより余裕を持って組まれる。集団生活が不得意な生徒でも、自分のペースで少しずつ学校生活になじめるように配慮されているのだ。
鈴木先生は、「このコースで1年間がんばることで自信をつけ、総合コースへとステップアップさせてあげたい」と話す。
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意欲を引き出す選択・ゼミ授業
総合コースの特長は、基礎から受験対策まで個人のレベルに応じて学習できること。英数の2教科は習熟度別に授業が行われている。カリキュラムは毎日5時限まで設定されているが、午後には選択授業やゼミ授業が配置されていて、生徒たちは自分の個性や学力、進路目標に応じて自由に選択している。
選択授業は毎週月曜と金曜の4・5時限目に無学年で行われ、基礎・応用・受験というようにレベル分けされている。受験レベルでは、「センター現代文」や「古文」「小論文」講座などがある。先輩後輩が一緒に学ぶことで、お互いに新たなつながりもできるという、もうひとつの効果も生み出している。
火・水・木の4・5時限目にはゼミ授業がある。これも無学年で、現在は全15講座を開講。大学受験を目指す生徒のためには、系列予備校の現役講師による受験英語講座も用意されている。その他、簿記やパソコンなどの検定対策、楽器演奏やダンス、フイットネスなど、その種類はバラエティーに富んでいる。
なかでも生徒たちの人気を集めているのが、理科の若手女性教諭、“マエオ”こと前田晴菜先生と“ルマーセ”こと馬瀬美保子先生の2人が毎週、身近な材料を利用した「おもしろ実験」を生徒たちに体験させる「スーパー実験」講座である。
これまで、ペットボトルのお茶で燃料電池をつくったり、風船に羽根をつけた「風船ロケット」を飛ばしたりした。羽根のつけ方を変えるとロケットの飛び方も変化する。そこから生徒たちは空気の流れや浮力について考え、知識を身につけていく。
「何でだろう?と考えているときの生徒たちの表情は、本当にイキイキとしています」と前田先生。
選択授業やゼミ授業を通じて生徒たちは学ぶ楽しさを実感し、学習への意欲を高めていく。同キャンパスの進路決定率は95%。4人中3人は大学・短大、専門学校に進学するという。なかには早稲田や慶応に合格を果たした生徒もいる。またある生徒は中学校のときにたった2日しか登校しなかったが、総合コースに入学後は欠席も減り、ゼミなどを通じて自分の才能を伸ばした結果、見事、芸大合格を手にした。
「このゴールは、クラークに進学したからこそ到達できたこと」と鈴木先生は胸を張る。
来年度からは進路の選択肢を増やすためにも、英検・漢検などの資格・検定の取得にこれまで以上に力を入れていく。また、今年度開校した系列のIPU・環太平洋大学との高大連携も期待できる。名古屋キャンパスでは、生徒たちの新たな可能性を開くための取り組みが続いている。
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