愛知県一宮市郊外にある大成中学・高等学校を訪ねた日、グラウンドでは野球部が練習中。記者の姿を認めた部員が「こんにちは!」と迎えてくれた。あいさつや言葉遣いを重んじる同校の人間教育が息づいているのを感じる。
中学・高校の英語を担当する中井美貴先生は静岡県出身。名古屋の大学で英語を専攻し、教職課程を履修したことで教職を志すように。
「学習指導だけでなく、生徒の海外体験や社会貢献活動を後押しして人間力を育む方針や、毎年新しい取り組みが始まる快活な校風に魅力を感じています」。
例えば2019年度に発足したインターアクトクラブは、資源リサイクルや地域への奉仕活動を行うとともにSDGsの達成を目指す。昨年度、地元ロータリークラブから盟認証をけ今後は本格的に地域社会において、さらには世界へと、その活躍の場を広げていく。
また、グローバル人材の育成も同校の特色の一つ。ほとんどの生徒が留学や海外での語学研を経験し国際交流や外国人留学生の受け入れにも積極的だ。「一宮から世界へ」を掲げ、英語教育に力を入れているだけに、英語教師が担う役割は大きい。
中井先生が英語を学ぶ生徒たちに気づいてほしいのは語彙力の大切さだという。最初の授業では、ごく簡単な例文の中に一語だけ難しい単語をまじえて問いかける。
「I am a teacher は中学1年生でもわかりますがteacher をvet(獣医)に替えると訳せなくなってしまうんです。単語一つでつまずいてしまうのはもったいないし、反対に単語を知っているだけで読み取れたり話が通じることもあります。『だから語彙力を身につけようね』と言います」
クイズ形式の単語学習アプリ「クイズレット」を活用し、生徒たちがチーム戦で正解を競い、楽しみながら学習する試みも。ICTを授業や自主学習に取り入れることに積極的な同校なので、こうしたこにもチャレンジしやすい。
「ニューホライズン」のようなストーリー仕立ての教科書を用いる授業は、ほぼオールイングリッシで行い、常に幾通りかの表現に言い換えるパラフレーズで進める。どれか一つでも理解できればいいし、続けることで生徒の表現の幅を広げるねらいだ。
また「色々な文化圏の人と関わりを持つ時、言葉だけでなく異文化への理解がないと円滑な関係が築けません。授業では多文化理解の取り組みも含めていきたいと考ています」と言、時には世界の暮らしや学校生活をスライドで紹介している。
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新大学入試制度に備え、受験英語対策を
アップデートし、進学をサポート
生徒には英語を楽しんで学び、多くの出会いを得て人生を豊かにしてほしい。一方で受験を突破するために難しい英文法やリーディング、イティングの学習は欠かせない。
「スキーを座学だけで上手くなろうとしても無理なよう、英語も実践を重ねて力をつけていくものですが、実用一辺倒では進学は厳しいのが現実です。葛藤はありますが、本校には英語ネイティブの先生が3人いらして週1〜2回、英会話の授業をしてくださいます。英語のコミュニケーションはネイティブの先生方のお力添えをいただいて、受験を意識した英語に多く時間を費やすことができるので心強いです」
大学入試における英語4技能重視の傾向はさらに高まる見通しだ。
「これまでも大成では大学入試対策はもちろんですが、英検1級取得者を輩出するなど英検やTOEIC対策も行ってきました。今後はさらに、そのような勉強が必要になるのではないでしょうか。私たちの授業も改革を求めれると思います」
そのため研究会や意見交換会にまめに参加して、最新情報や授業のヒントを収集し続けている。
「まだ教員4年目ですから、日々勉強です。生徒と一緒に成長していきたいです」とはつらつと語る中井先生だ。
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