2・3月
●集客数の算出公式
2月、3月と月別に分けて留意事項をお伝えするのが本来ですが、今回はちょっとお許しをいただいて、両月のメインテーマである「新年度・春期講習の募集広告」について少々詳しくお話をさせていただきたいと思います。
わたしは学習塾の集客数は、一般的には次の数式で表わすことが出来ると考えています。
N=S×(HH×HS)×(AQ×AS×AI)
Nは集客数、Sは成績向上に関する地域の評価、HHはホスピタリティに関するハード部分の、HSはソフト部分の地域の評価、AQは広告の量、ASは広告の種類、AIは広告のインパクト。SからAIまでの変数の範囲は0より大きく、1が地域の平均値。
厳密にいえば、この他にも料金と立地(商圏内人口)なども変数として加えなければなりません。しかし、安ければ安いほど客が集まるというわけではありませんし、立地も一義的に数式で捉えることはなかなかに困難です。ここでは触れないことにします。
●変数の詳細
一つひとつの変数について少し説明しておきましょう。
Sは成績向上に関する地域の評価です。いうまでもなく、成績が上がる塾だという評価があるかどうか、あるいは成績のよい子が通っている塾だという評価があるかどうかで数値の高低が決まってきます。たいていは塾の規模が大きいほどこの二つを満たしていると評価されますから、地域内で一番大きい塾が最も有利ですが、この変数の可動範囲は他に比べて広いので、高い数値を獲得した小規模がきわめて短期間のうちに大規模塾を食ってしまう可能性もないわけではありません。
HHはハード部分のホスピタリティ、要するに建物の大きさや外観、設備・備品に関する地域の評価のことです。奇麗でカッコよく居住性のいい塾のほうが、狭苦しいいまにも倒れそうなボロ塾よりも客が集まるに決まっている、と申し上げればおわかりいただけるでしょう。整理整頓や掃除の行き届いた清潔さなども、ここに含めてよかろうと思います。
HSはソフト面でのホスピタリティ、いわゆる面倒見に関する地域の評価の高低です。授業内外での子どもたちへの気配りや保護者への対応等々、ハード面以外のホスピタリティの一切がっさいが含まれるとお考えください。
「ウチは面倒見のよい塾だ」というのを表看板にしている塾がよくあります。しかしいまどき、面倒見が悪いと言われるような塾が生き残っているかどうか。この部分で他塾との決定的な差別化をはかるのは難しいと考えておくほうが無難だという気がします。
AQは広告の総量です。ただし、これは塾側から発信する広告の量ではなくて、一人ひとりの消費者に到達する広告の量と捉えていただかなくてはなりません。ある消費者がある塾の名前を1度だけ耳にするより2度耳にするほうが量は多いわけですから、たとえば広い地域に折り込みチラシを1回だけ入れるよりも、半分の地域に2回入れるほうが効果的ということになります。
ASは広告の種類です。折り込みチラシ、TVCM、新聞広告、野立て看板、駅看板、校門配布、戸別配付、ポスター、口コミ等々、広告の種類はそれこそ山ほどありますが、重層的であればあるほど広告効果は高まるものです。シーズンごとの塾舎内外の掲示などももちろん大切な広告の一種ですからおろそかにすべきではないでしょう。
AIは広告のインパクトです。これには伝える内容の面でのインパクトと、それを表現する仕方の面でのインパクトとがあります。折り込みチラシを例にとると、伝えたい内容が同じ場合には、大きい判型を使うとか、数字を大書するとか、目立つイラストを入れるとかというちょっとした工夫をするだけでインパクトが変わってきます。注意したいものです。
●広告の内容をどうするか
集客数がこうした数式で決まってくることがわかれば、新年度の募集や春期講習生募集に向けて、どのような内容をどんな具合に広告宣伝していったらよいか、おわかりいただけるのではないでしょうか。
まずは内容です。
とにもかくにも「ウチに来れば成績が上がる」「ウチには成績のよい子がきている」ということを強調して、この点に関する地域の評価を高めなければなりません。手っ取り早いのが実例を示すことです。定期テストなり合格実績なりで恥ずかしくない実例があればそれを大書し、ついでになぜ上がったのか理由も簡単に付け加えておく。それで十分です。
実例がなければ「目標」でも構いません。ただしその場合は「理由」がかなり重要になります。「これだけ多くの時間勉強するから上がるはず」「こうした指導方法をとるから上がるはず」「こうしたコースを作るから大丈夫」等々、消費者が納得する理由をキチンと示す必要があります。
ハード部分のホスピタリティに関してはある意味、急にはどうにもなりません。したがって、すでによほど立派なハードを抱えている塾以外、宣伝広告は不可能ですし、また不要でしょう。とはいうものの、塾舎の内外を毎日、しっかり清掃する程度のことはできるはずです。周囲の地域住民の「目」にどう映るかに注意すれば、この点についてわざわざ宣伝しなくても、おのずからよい結果が得られるのではないでしょうか。
ソフト部分のホスピタリティについては、多くのことを能弁に語るより、生徒・保護者から評価されていると思われる、二つ三つのことだけを強調するのがよいかもしれません。たとえば「ウチの塾では保護者個人面談に力を入れて年4回実施している。いずれも最低1時間はかける」、「ウチの塾では授業終了後、30分間の質問タイムを設けている。学校の宿題はここでやってもらっている」などなど、具体的なものをいくつか記載すれば、そこから推して判断してもらえます。
●どのように宣伝するか
次に広告宣伝ですが、ここで念を押しておきたいことが二つあります。ひとつは、内容の主役はあくまで成績であって、ホスピタリティは主役を引き立てるための脇役に過ぎないこと。もうひとつは、成績変数の可動範囲が0・001から場合によっては10を超えるかなり広い範囲に渡るのに対し、ホスピタリティの可動範囲はせいぜい3くらいまでと狭いことです。
したがって、広告を発信する側は、できるかぎり成績面で地域から高い評価を得られるよう発信の仕方を工夫する必要があり、そうしたほうが有利なわけです。
これを念頭に、消費者にこちらが伝えたい内容をしっかり覚えてもらえるよう、多量の、刺激的な広告を、刺激的な表現方法を使って、いろいろな角度から送り出す。
新年度・春期講習の募集の成否は塾の1年を決定づけます。少々の出費は覚悟の上で、がんばって広告宣伝を行っていただきたいと思います。
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